――『凍蝶圖鑑 』のテーマについて教えてください
田中 東京公開のチラシの惹句は“きっと会ってなかったら私 死んでたわ”だけど、関西公開時の惹句は、“普通に生きようとするなら それだけで十分狂っている”。これがテーマの全て。普通ってなんだ? ということです。変態たちにとっても自分は普通だと思って生きている。人の“普通”は皆、違う。それをどれだけ共有できるか。完全には理解する事はできないし、共有できないから分からないけど、そういう趣味を持っている、それはもう致し方ないことだと。でも、彼らは変な犯罪者でもないし、普通の人とほとんどの部分では合うけど、ただ、趣味の部分が普通よりも根深く持ってるだけの話。そのことさえ知れば、違いを認め合う事が出来るのではないかということを伝えたかった。変態の世界の中では、SMの人と、スカトロジーの人と、ロリコンの人と、誰が偉いということはない。それぞれ棲み分けがされてる。お互いに排除しないし、優劣をつけない。このことは、世の中で一番重要なこと。最近、フランスで銃撃戦があったけど、排除と優劣の論理が働いてるから。それは格差を生む理由の一つだとも思う。