ろくでなし子どころではない? 日本人は古代から「わいせつ」だった?考古学的に見る女性表現

※動画:YouTubeより

 縄文時代が終わりから約600年経過した古墳時代でも女性器表現は使われている。代表する遺物に埴輪がある。土で作られた人形で、死者を送る儀式に使われたとされる。土偶よりもバリエーションが多いが、性器を表現したとものはそれほど多くない。代表的なところでは、宮崎県の新田原古墳群百足塚(にゅうたばるこふんぐんむかでづか)古墳で発掘された女性器と男性器を持つ埴輪がある。

 土偶や埴輪の性器表現はどれもディフォルメされたもので、冒頭のろくでなし子氏の事件で取り沙汰されたようなリアル表現とはいえない。


では、歴史的にリアルな女性器を表現するようになったのはいつからなのか?

ろくでなし子どころではない?  日本人は古代から「わいせつ」だった?考古学的に見る女性器表現の画像4女拓イメージ/thing.netより。

 その起源は定かではないが、江戸から明治時代にかけて「女拓」と呼ばれる遊びが花街で芸者遊びの一種として定着していた。やり方は魚拓と同じで、女性器を魚に見立てて凹凸に墨を置き、紙を張り付けて形状を記録する。魚拓自体は、1839年(天保10年)に庄内藩・藩主酒井忠発によって始められたとする説が有力である。

「女拓」は芸者遊びとして定着していったが、呼び名はよりリアルに「まん拓」などと言われるようになっていった。昭和に入る頃には物好きの遊びと位置づけられて、アンダーグラウンドな文化になっていったのだ。

 昭和の後半になってもわいせつ表現に対する取り締まりはあったが、正確な記録は残されていない。だが、日本人が古代から女性器を表現してきたということは間違いないのだ。

文=丸山ゴンザレス/考古学者崩れのジャーナリスト

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