【イスラム国事件】外交官が語る国内でテロが起きる可能性と危険な場所とは?

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 2015年に入り、欧米諸国でイスラム過激派によるテロ行為が相次いでいる。1月7日、パリで風刺週刊誌『シャルリー・エブド』編集部が襲撃され、12人が殺害された。その直後、パリ南部では警官銃撃、さらに4人が犠牲となったユダヤ教食料品店での籠城事件が発生。そして14日から15日にかけ、アメリカやベルギー、ドイツで、大規模なテロを画策したり「イスラム国」に協力したとして複数の容疑者が逮捕されている。欧米だけではない。昨年12月15日にはオーストラリアでも、シドニー中心部で男が17人の人質をとってカフェに立てこもり、人質2名が死亡している。

 こうして、欧米やオーストラリアのイスラム系移民の間に、過激主義集団への親近感が育っていることがクローズアップされることになったものの、この時点では、イスラム過激派によるテロは、日本にとってまだ遠い世界の話だった。しかし1月20日、その日本に衝撃が走る。「イスラム国」が、72時間以内に2億ドルの身代金を支払わなければ、人質とした日本人・湯川遥菜氏および後藤健二氏の2名を処刑するとネット上で公表したのだ。折しも安倍総理中東訪問の最中、それもアラブ諸国と敵対するイスラエルを訪問中の出来事であったため、「イスラム国」の意図についてさまざまな憶測が飛び交い、人々の間では自己責任論についての議論も噴出したが、事件は結局人質2名の殺害という最悪の結果で終わった。

 この事件により、中東から遠く離れた日本も、「イスラム国」による攻撃と無縁ではない事実を思い知らされた。実際、後藤健二氏を殺害したとするビデオ声明で、「イスラム国」側は今後も「場所を問わず日本人を標的にする」と宣言している。このような状況のなか、関心を呼ぶのは、日本国内において欧米で見られるようなテロ事件が起こるかどうかという点だろう。この疑問に関し、旧知の外交官の見解を聞いてみた。


■「イスラム国」事件と今後の危険について、外交官が語る

 彼は次のように切り出した。

「まずは、湯川さんと後藤さんのご家族に、心からのお悔やみを申し上げたいと思います。外務省、そして中東各国の大使館に駐在する同僚たちは、文字通り不眠不休で対処してきましたが、このような結果に終わったことは、私としても大変悲しいことです。他方、昨年末から現在まで、世界各国でイスラム過激組織に関わる事件が起きたことで、世界的にイスラム教に対するイメージが悪化しているようですが、イスラム教そのものとイスラム過激主義とは区別すべきです。特定の宗教を盲信して、殺人など犯罪行為も辞さない集団は、オウム真理教の例を挙げるまでもなく、歴史上どの宗教にも現れています。ヒンズー教にも過激派がいますし、中世ヨーロッパの魔女裁判では、清貧の代名詞と思われているフランシスコ会やドミニコ会修道士たちが大きな役割を果たしたことは、歴史的事実です。自分たちこそが正しい教えを実践していると信じ込むことで、異なる考え方を否定したり、不寛容になったりすることは、人間の性なのかもしれません」

 こう前置きしたうえで、外交官は続ける。

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