恐怖の一つひとつが驚愕のラストにつながる、謎解きホラー映画『ジェサベル』
「何も悪いことをしてないのに、なんでこんなひどい目に遭わなきゃいけないの?」「人から恨みを買うようなことはしてないのに、なんで悪いことが続くの?」…、本作のヒロインを襲う、不気味で不可解な不幸の数々。この映画を日本人的に解釈するならば、仏教界でいう「因果報応」をそのまま映像化したような作品だといえるだろう。一体どんな恐怖が待ち受けているというのだろうか…? ホラーマニアが公開中映画『ジェサベル』を批評する!
■今回の映画『ジェサベル』(公開中)
まずは極力ネタバレに注意して、本作のあらすじから。
妊娠中のジェサベルことジェシー(サラ・スヌーク)は、婚約相手の運転する車で同居先に向かう途中、大型トラックとの衝突事故に遭う。事故により愛する彼とおなかの子を失ったジェシーも重傷を負い、車椅子での生活を強いられることになる。絶望に陥ったままの彼女は療養も兼ね、父(マーク・ウェバー)が一人で住む湖畔の家に戻るのだが、そこはブードゥー教が盛んなハイチからの移民が住む地域でもあり、父はジェシーにある秘密を隠していた。
そんななか、幼い頃に亡くなった母の部屋から、ジェシーに残した母からのビデオレターを見つける。そこにはタロット占いの好きな母がジェシーに宛てた、不吉な占いの結果が記録されていた。母の映像にのめり込むジェシー。そんな彼女の行動を知った父は激怒してビデオテープを壊してしまう。それ以降、ビデオで母が予言した不吉な出来事が次々に現実となっていく。そして湖のそばで見つけた自分の墓……! なぜ自分の墓があるのか――隠された真実を知ったとき、ジェシーは底知れぬ恐怖を体験することとなる……。
■恐怖とスリルとサスペンス
本作は単なる幽霊話のホラー映画ではない。平凡だが幸せな毎日を過ごしていたヒロインは、ある日を境に運命が大きく変化する。そして、得体の知れぬ不安と恐怖がおびえるヒロインの脳内へと刻み込まれ、その数々の事象が真実を明かすパスワードになっている。本作はしっかりと練られたコンセプトを基に、シナリオの完成度を重視したきめ細やかなストーリー展開で成り立っており、まるでジグソーパズルにピースをひとつずつはめ込むことで、完成した時にどんな絵だったかが分かるように、本作もオープニングからエンディングまで、なんの脈絡もないと思われるそれぞれのシチュエーションが、実はラストで明かされる真実と衝撃的なエンディングにつなげるための伏線となっているのだ。それゆえに、謎解きの要素が強いホラーサスペンスと言っていいだろう。ひとつ弱点を挙げるとすれば、不気味で不可解な状況を解き明かしていく楽しみの方が恐怖よりも勝るため、ホラー映画としての印象が薄くなることだろう。
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2024.10.02 20:00心霊恐怖の一つひとつが驚愕のラストにつながる、謎解きホラー映画『ジェサベル』のページです。ホラー映画、深沢光太郎、ジェサベルなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで