“クラゲ型UFO”?から降り注ぐ細い光線!! 何千人もの住民が目撃した「ペトロザヴォーツク発光体事件」とは!?
午前4時頃、フィンランド国境に近い工業都市ペトロザヴォーツクの何千人もの住民が、上空に奇妙な光る物体を目撃した。物体は市の西方から現れ、最初は大きな星のように見えた。目撃者の1人ノヴォツィロフは、「物体は飛行船のような形をして、月よりずっと大きく見えた」と述べる。
それはやがて市の上空で静止し、突然大きなクラゲのような形に膨張。すると同時に物体から細い光線が雨のように降り注ぎ、地上へと落下した。事件後、市内の家庭の窓ガラスに、レーザーで切ったような小さい穴がいくつも空いていたとの証言も出たが、この光のシャワーとの関係は確認されていない。
物体はその後、北東方向に向かい、市の東方にあるオネガ湖上空へと移動。やがて雲の中に消えた。物体が現れてから消えるまで、だいたい15分ほどの出来事だった。
■国境をまたいで目撃されていた!!
この事件が公表されると、同じ夜、数時間前からレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)やフィンランドの首都ヘルシンキ、さらにデンマークの首都コペンハーゲンでも謎の発光物体が目撃されていたことが明らかになった。そして、現象を説明するためにいくつもの仮説が唱えられている。
最初に提案されたのが、事件当日、それも謎の物体出現とほぼ同時期に行われた旧ソ連の衛星打ち上げとの関係だ。しかし、衛星が打ち上げられたプレセーツク宇宙基地は、ペトロザヴォーツクの東北東に位置している。しかも、衛星は地球の自転を利用する形で東方向に向けて打ち上げられるため、物体が市の西方から現れ、それ以前にヘルシンキでも目撃されていた事実と矛盾することになる。
また、特殊なオーロラという可能性も考えられたが、物体が放つ光は通常のオーロラよりも遥かに明るく、地上は満月の夜ほどの明るさになったという。さらには、秘密裏に弾道ミサイルの実験が行われたとか、低周波電磁波を電離層に当てる実験が行われていたとの説もあるが、確認されていない。
いずれにせよ、ペトロザヴォーツクでの謎の物体は現在に至るまで正体不明となっており、研究家たちを悩ませ続けているのだ。
羽仁礼(はに・れい)
一般社団法人潜在科学研究所主任研究員、ASIOS創設会員
参考:『UFOと宇宙』1979年3月号、及び4月号
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