【海外民俗学】“ヨーダ”だけではなかった! 中世のキモくてアブないモンスターたち6選!
●犬頭人(Cynocephaly)
その名の通り犬の頭の人間で格闘能力が高く中世の兵士たちを怖れさせたという。犬頭人は当時最も有名なモンスターで、キリスト教の国々から遠く離れたインドの山奥に生息し、獣の皮を身にまとい、まさに犬のような咆哮で仲間内の意志疎通を交わしていたという。
犬頭人はしばしは非キリスト教徒の代表格としても描かれていて、悔い改めてキリスト教に改宗した犬頭人は顔も身体も人間になったというエピソードもあったということだ。
●セイレーン(Siren)
ギリシア神話に登場する海の怪物だが、中世には船乗りたちに恐れられていたという。美しい姿形に魅了された船乗りたちはセイレーンの美声に誘われ死へと導かれていくということだ。
●クジラ(whale)
実在する動物であるが、当時は船乗りを死へと導く邪悪な存在であると考えられていたという。
海に浮かぶクジラの大きさに騙されて小さな島だと思った船乗りが下船して上陸(!?)し、船を陸地に縛りつけキャンプの手筈を整えたところで、クジラは海の底へと急潜航して船もろとも海の男たちを死へと至らしめるエピソードが残っているということだ。
しかし、その一方で聖書の「ヨナと鯨(Jonah and the Whale)」の話のように、クジラは人間の命を守ってくれる存在であると一部では考えられていたという。
以上、著書で紹介されているモンスターの一部だが、中世のモンスターが勢揃いしているのが、大英図書館が所蔵する『ロンドン詩篇の世界図(Psalter world map)』ということだ。
1260年頃に作成されたといわれている『ロンドン詩篇の世界図』だが、エルサレムを中心とした世界地図の東側の周縁部にブルーとオレンジで交互に区画されたブロックがあり、その中に描かれているのがこの時代を代表するモンスターの数々ということだ。キリスト教の“光”があたらない世界の果てには、このような邪悪で異形の怪物たちが生息していると考えられていたのである。
そしてこれらのモンスターの言い伝えは、中世の代表的な探険家、マルコ・ポーロやコロンブスの航海にも少なからぬ影響を与えていたということだ。“秘境”がますます失われていく現代だが、かつては大冒険家も考慮に入れていたこれら中世のモンスターたちに思いを馳せてみるひと時も楽しいのではないだろうか。
(文=仲田しんじ)
参考:「Daily Mail」ほか
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