イエスは偽預言者、キリスト教は弟子の妄想!? 「マンダ人」とフリーメーソンが知る“真実”

■イエスは、洗礼者ヨハネの地位を奪取した!?

IoannesBaptista.jpgイエスに洗礼を施すヨハネ(左)「Wikipedia」より

 では、それはなぜなのか? 福音書を再び紐解いてみると、ヨハネの捕縛とイエスの説教開始との関係に気づく。

「マタイによる福音書」と「マルコによる福音書」によれば、イエスは、ヨハネが時のイスラエル王ヘロデ・アンティパスに捕らえられたと聞くと、一旦ガリラヤに退き、そこから伝導を始めたということになっている。この記述から読み取れることは、イエスは自身の師ともいえるヨハネが時の権力に迫害された際、追求の手を逃れ、その後独自の宣教を始めたということになる。要は、教団が迫害により壊滅した後、残った幹部が独自の教団を起こしたという構図である。

 日本でも、大正10年の第一次大本事件により大本教が迫害された後、『日月神示』を自動書記することになる岡本天明、「心霊科学研究会」を設立した浅野和三郎、「世界救世教」を創始した岡田茂吉、「生長の家」教祖・谷口雅春などが独自の活動を開始した。ヨハネの教団でも同じことが起こり、弟子のイエスが独自の活動を始めたと想定してもそれほど不自然ではないだろう。そして、こうしたイエスの活動は、最後までヨハネに忠誠を誓う者たちから見れば「簒奪者」ということになる。このように、「福音書」の記述にはマンダ人の信仰を裏付ける部分があるのだ。


■歴史資料から読み解く「真実」

 マンダ人だけではない。同時代の歴史家もまた、イエスよりもヨハネの方を偉大な人物と考えていた形跡がある。

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洗礼者ヨハネ(サンドロ・ボッティチェッリ)
Wikipedia」より

 イエスとほぼ同時代のローマ側の歴史資料で、明らかにイエスの存在に触れている歴史書は、現在1つしか確認されていない。フラウィウス・ヨセフスが残した『ユダヤ古代誌』である。そこでは、2カ所にイエスについての言及がある。最初の長い記述は、イエスこそ救世主(キリスト)であり、死後3日目には復活したという福音書と同じ内容が記されているが、これは、後世になってキリスト教信者が写本を書き写した際に加筆したことが明らかとなっている。そしてもう1つの記述は非常に簡単なもので、「『キリストと呼ばれたイエスの弟ヤコブ』が、石打の刑で殺された」というだけのものだ。

 ところが、ヨセフスが『ユダヤ古代誌』で書き残した洗礼者ヨハネについての記述は、イエスに関する記述と比べてはるかに詳しく、しかもヨセフスはヨハネを誉めそやしているのだ。このことからも、当時のパレスチナではイエスよりヨハネの方が重要人物とされていたことがうかがえる。イエスとは結局ヨハネの弟子の1人にすぎず、師のヨハネが拘束された後で自分の説法を始めたが、すぐにローマの官憲に処刑されてしまった。そして同時代のユダヤ人は、ヨセフの方をより重視していたということが言えそうだ。

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