【麻薬密輸】日本人が禁固16年から一転「終身刑」に ― 恐ろしきインドネシア司法の実態!

■検察求刑を上回る

 日本では裁判所が検察求刑より重い判決を出すということはまずない。しかしインドネシアは違う。13年1月、バリの地方裁判所では検察から禁固15年を求刑されていたイギリス人女性が、判決で死刑を言い渡されたということがあった。彼女は4.7キロのコカインを所持していた罪で逮捕されていた。

 川田被告の裁判を担当した西スマトラ州地裁のジョン・エフェディー裁判長は判決文の中で、

「現在、我が国は麻薬の巨大消費地と化している。川田被告の行為は、我が国の若者を死に追いやるものだ」

と、言及した。情状酌量の余地は一切ないとした上で、川田被告に終身刑を告げたのだ。そもそもエフェディー裁判長は公判の際、「世界銀行幹部を名乗る男にだまされたというあなた(川田被告)の話は、非常識過ぎてまったく信用できない」と口にしていた。この時から、川田被告の運命は決まっていたのかもしれない。

 インドネシアの刑務所は日本のそれよりも開放的とはいえ、その分弱肉強食の関係が根付いているという。一言で言えば、「金を持っている囚人が強い」というものだ。財力が秩序という世界で、この70代の日本人は余生を過ごさなくてはならない。

 インドネシアにおいて、麻薬は、かかわったすべての人の人生を、まるごと奪い去ってしまうのだ。

■澤田真一
フリーライター。経済情報サイト等で執筆多数。日本とインドネシアを往復する生活を送りながら、記事作成や実地調査などの仕事を請け負う。只今、インドネシア関連の執筆及び調査の依頼を受付中。https://www.facebook.com/masakazu.sawada

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