ゾンビになった彼女を愛し続けられるだろうか? 映画『ライフ・アフター・ベス』
――ホラー映画マニアによるレビューシリーズ
■今回の映画『ライフ・アフター・ベス』(公開中)
怖さ度 ★★
笑える度 ★★★
オシャレ度 ★★★
マニア歓喜度 ★★★★
びっくり度 ★★★★
■あらすじ
小さな田舎町で育ったザック青年(デイン・デハーン)は、不慮の事故で恋人ベス(オーブリー・プラザ)を亡くす。その数日後、ザックは死んだはずのベスを彼女の自宅で見掛ける。彼女の両親を問い詰めると、ベスは墓からよみがえって家に戻ってきたのだという。彼女が生き返ったことによって、もう一度やり直そうと決意を固めたザックは、これまで以上にベスを大切にすることを誓う。ところが、ゾンビ化したベスは性格が一変し、皮膚が徐々に腐り始め、生前の美しさまでも失われていく。次第に心が離れていくのを実感していくザックは、幼なじみのエリカ(アナ・ケンドリック)と再会を果たし、生身の女性の新鮮さに惹かれ始める。そんな2人に、ベスは嫉妬の炎を燃やすのだが……。
■ゾンビ化した恋人との葛藤を描いた「青春ゾンビコメディー映画」
本作は、「生きている男」と「死んだ女」の心のすれ違いを描いた、異色の青春ゾンビコメディー映画といえるだろう。不気味でキュートなゾンビを演じたのがアメリカの人気コメディアン、オーブリー・プラザ。その彼氏役を演じるのは『アメイジング・スパイダーマン2』(2014年日本公開)に出演したデイン・デハーンだ。
蛇足だが、作中では、なぜ彼女は一度死んだのに復活したのか、その理由に触れられていない。そもそも、ゾンビ化の理由を追及するのは、野暮というものだろう。だが、もしかしたらこれは「思い出は、いつ思い返しても美しい」ということのメタファーなのではないだろうか? 死んだ彼女との記憶は美しいが、現実は凶暴で劣化もする。まさしく、“生きた彼女”と付き合い続けた成れの果てを、ゾンビ化を通じて描いているのではないだろうか……。と、色々と考えるところはあるのだが、深く追及せずに、与えられた映像を楽しめばそれでいいのかもしれない。
■ゾンビ化した彼女が肉食系に!?
注目すべきは、ゾンビ化したベスの抑えきれない欲情ぶりだ。生前は典型的なアメリカンガールだったベスだが、ゾンビ化してから突然、性的欲求の激しい肉食系女子へと変貌し、積極的に恋人ザックとのSEX三昧に興じるのだ。それが両親の前であろうが町の広場であろうが、場所などお構いなしに快楽にふける。ゾンビ=リビングデッド(生きる屍)状態なのに、なぜか性への欲求は人間以上という点もシニカルも見もの。こんなSEX好きの彼女を持ったら、どんな男性でもたちまち逃げ出してしまうはずだ。
だからといって、映画の中で描かれている、恋人ザックが仕掛ける、衝撃的なシーンは道義上、正しかったのかどうか? 意見の分かれるところだろう。詳しくは本作をご覧いただきたい。
(文=深沢光太郎)
■劇場公開日
新宿シネマカリテにて公開中
■配給
カルチュア・パブリッシャーズ
■出演
デイン・デハーン(『アメイジング・スパイダーマン2』)
オーブリー・プラザ(『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』)
アナ・ケンドリック(『ピッチ・パーフェクト』)
マシュー・グレイ・ギュブラー(「クリミナル・マインド」シリーズ)
ジョン・C・ライリー
■公式サイト:http://lifeafterbeth.jp/
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