世界の広告業界が驚嘆! 欧州ポルノの帝王が編み出した「有料加入者50倍のネット集客法」が素晴らしすぎる!
■マジックワードは「Q」「S」「P」「L」
その条件とは、視聴する際に、パソコンのキーボードにある「Q」「S」「P」「L」を同時に押し続けること。「#HANDSOFF」の特設サイトに並んだポルノビデオの中から作品を選びクリックすると、表示されるページには、作品のカバー写真と共に、「フィルムをスタートするために……指を下のキーに置いてください」と表記されている。「Q」「S」「P」「L」を押すとビデオがスタートするのだが、キーから指を離した途端に中断。再開するには、改めて4つのキーを押し続けなければならない。
カンのいい読者はすでに気づいているかもしれないが、「Q」「S」「P」「L」の4つのキーを押し続けるのは片手では無理。このことが何を意味するのか? そう、とりわけ男性ならわかりますよね、両手を縛り付けられた状態でポルノを観なければならないという状況がどういうことなのか。
一言で言うと、“アレ” ができないんですよ。
純粋に視聴だけの目的でポルノを観るユーザーはいなくはない。しかし、大半の男性がポルノを観る目的は “アレ” をするためだ。それなのに、両手がふさがっていてはどうにもならない。
キャンペーンではあらかじめ、キーボードから手を離してビデオを観る方法も用意されていた。それは、月額9.99ユーロの有料サービスに加入すること。つまり、無料視聴しながら辛抱たまらなくなったユーザーをそのまま有料サービスに導くというアプローチなのだ。実に秀逸。シンプルゆえに隙がない。
■無料視聴の裏技を次々と生み出し盛り上がるユーザーたち
「#HANDSOFF」は、開始当時から大きな話題になり、数多くの海外メディアで取り上げられた。それは、このキャンペーンの優れたアイデアだけが理由ではない。無料視聴サービスを実際に試したユーザーの間でちょっとしたムーブメントを引き起こしたことにある。
マークドーセルに一本取られたユーザーたちは、キーから指を離しても無料で見続けるための対抗作を次々と編み出しTwitterやVine、Facebookで公開、共有し始めた。「片手で4つのキーを押さえる者」「おのおののキーにコインを積む者」「オリジナルの器具を手作りした者」もいる。「飼いネコに押さえさせた奇特な者」もいたが、恐らくこれはネタだろう。つまりは祭になったというわけだ。
メディアやユーザーを巻き込み大いに盛り上がったキャンペーンによって、マークドーセルのサービスサイトへのアクセス数は27倍に増え、有料サービスへの加入者数は50倍にも達したという。数字の面でも大成功。その結果、カンヌのアワードのダイレクト部門でゴールド(グランプリの次)を受賞するに至ったのである。ゴールドに輝いた作品は複数あるが、「#HANDSOFF」はグランプリを獲得したボルボの作品と審査員の評価を二分したというのだから、事実上の第2位と言っていい。
いまだ無料サービスが主流のインターネットビジネスにおいて、有料サービスで収益を上げるのは難しいと言われる。無料サービスになれたユーザーの財布の紐を緩めるのは簡単ではないからだ。「#HANDSOFF」は、その敷居の高さを、術中に堕ちた潜在的ユーザーを思わず「ニヤリ」とさせるアイデアひとつで飛び越えた。
この、おもわず「ニヤリ」、というのが大切。しぶちんのユーザーに快くお金を払わせ、クライアントの抱える問題を解決に導いたマーセルのクリエイティビティに、“してヤラれた” 世の男性の1人として、惜しみない拍手を送りたい。
(文=ワタナベヒロユ機)
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2024.10.02 20:00心霊世界の広告業界が驚嘆! 欧州ポルノの帝王が編み出した「有料加入者50倍のネット集客法」が素晴らしすぎる!のページです。ワタナベヒロユ機、ポルノなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで