「私はクージャ神!キリストを創造した」“ロシアの麻原”逮捕される
ロシアで「私はクージャ神。キリストを創造した」など、理解に苦しむ言葉を発信していたアンドレイ・ポポフ容疑者が詐欺容疑で逮捕された。また、ポポフ容疑者を教祖とした新興宗教団体も摘発……と、ロシアのニュースでありながら、どこかで聞いたことがあるようなこの事件。やはり連想するのは、世間を騒がせた“あの死刑囚”のようだ。
治安当局は“キリストを創造した神”と名乗るポポフ容疑者と、その教団を危険視し、信者への虐待容疑などで捜査を開始。去年の家宅捜索で約4億8,000万円相当の現金や、劣悪な状況下で飼育されていた大蛇や希少動物を押収するなど、教団の監視・摘発を強めていた。
そして今月の家宅捜索により、モスクワの教団施設から約9,000万円相当の現金を発見。14日までにポポフ容疑者を詐欺容疑で逮捕した。なお、ポポフ容疑者は勾留にあたっての審問で「目がよく見えない」などと述べ、こちらもどこかで聞いたことのある“あの作曲家”を思い出させる。
同ニュースを受け日本からは、「宗教なんてもんは、所詮は全部詐欺だろ」「自称神は宗教を使って、信者とセックスがしたいだけ」「騙される奴も相当マヌケだろ?」といった声と共に、「見た目が麻原じゃないか」「麻原の亜種」「はいはい、智津夫智津夫」という声が上がっている。声にある“麻原”“智津夫”とはご存知、“麻原彰晃”こと松本智津夫死刑囚のことである。
それもそのはず。ロシア国内でも風貌などから、ポポフ容疑者を松本死刑囚に例えて報道されていた。また、信者への暴力や周辺住民とのトラブルが絶えなかったポポフ容疑者を教祖とする、“クージャ神のセクト”と呼ばれる新興宗教団体も、地下鉄サリン事件などを起こしたオウム真理教のように危険視されていた。
ロシアとオウム真理教は実に密である。1984年、“オウム神仙の会”という名で設立し、87年に“オウム真理教”に改名。国内での布教活動と共に、92年にロシアへの大規模な進出を試みた。93年頃から、ロシアにおけるオウム真理教の教勢は一気に拡大、入会者5万人ともいわれるほどとなった。
日本国内におけるオウム真理教のイメージは最悪であり、「なぜ5万人も入会する人がいたのか」と不思議に思うことだろう。しかし当時、ロシアにとって日本は先進国として良いイメージがあった。オウム真理教は多額の金銭を武器に有力政治家に取り入り、テレビ番組の枠を買うなどしてイメージを形成。教勢の拡大に成功し、複数のロシア支部を設立していったのである。
結果的に教祖・麻原彰晃もとい、松本智津夫が95年に逮捕され終焉したかに見えたが、2000年にはロシア人信者の松本智津夫死刑囚奪還を図るテロ未遂事件“シガチョフ事件”も起きている。また、オウム真理教は“Aleph(アレフ)”の名でいまだ活動を続け、ロシア語の公式サイトも設けてある。ポポフ容疑者の逮捕で、“クージャ神のセクト”の信者がそちらに流れなければいいが……。
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