予防接種神話の崩壊か? 慶應大学研究発表「インフルエンザワクチンに効果なし」
■6カ月~15歳の小児を対象に研究
今回の調査は、2013年から2014年の間に、全国の慶應大学病院の関連施設に診察にきた患者のうち、インフルエンザを疑われる発熱38度以上の4,727人の6カ月~15歳の小児を対象に、インフルエンザへの感染の有無とワクチン接種の有無を調べ、ワクチンの効果を分析した。
4,727人の受診者のうち、インフルエンザに感染していた患者は2,282人。感染していたインフルエンザ患者に対してのワクチンの効果(発症防止効果)は全年齢で平均して45%、種別ではA型に対しては63%、A型H1N1に対しては77%、B型に対しては26%となった。もともとB型に対しては効果があまり期待できないと言われていたワクチンだが、4人に1人しかワクチンの効果がないのは驚きだ。しかも年齢別に見ると、なんと6~11カ月ではA型で発症防止効果がみられず、13~15歳ではA型とB型で効果がないことが判明した。
それに加え、ワクチンのもう一つの性質である重症化防止効果を調べても結果は意外なものになる。インフルエンザ全種に対して、6カ月~12カ月の乳児における重症化防止効果は21%、1~2歳で63%、3~5歳で60%、6~12歳で39%、13~15歳で22%となっている。ここで注目したいのは、6カ月~12カ月と13~15歳の年齢層である。どちらの年齢層においても、ワクチンの効果は20%ほどしかないのだ。
この約20%という数値の内訳だが、A型に対しては重症化を防ぐ効果が76%あり、A型H1N1に対しては90%の効果が認められるとされているものの、B型に対しては、重症化を防ぐ効果も見られなかったという。とはいえ、1~5歳までの効果は60%以上あるということも証明されている。
この調査からわかることは「子どもがワクチンを接種してさえいれば安全だ」という安全神話は崩壊しているが、かといってまったく効果がないわけではないという事実だ。いつ、どのように摂取すればより効果が高いのか、それぞれの型において、当事者がより詳しく説明を受ける必要があるといえるだろう。
(文=高夏五道)
参考:「Plos One」、「一般社団法人日本ワクチン産業協会」、ほか
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