12歳になると少女から男性器が生えてくる村 ― 「ゲヴェドース」と呼ばれる人々の謎!
サリナス村では高確率でゲヴェドースが誕生することからこの特殊な現象はこの地域で広く知られ、喜ばしいことと祝う住民たちもいる。だがしかしすべての住民が受け入れているわけではないのだ。
思春期を迎え、身体が変わってきた前述のジョニーを見て「悪魔」や「汚らしい」などと言う住民が現れ、その卑劣な攻撃に対してジョニーは拳で闘うしかなかったのだと語る。たしかに、外見や声などの目に見える部分が大きく変わることは本人にはもちろんの事、周囲にも影響を与えることだろう。まして多感な思春期の子どもたちには受け入れがたいのかもしれない。
ゲヴェドースはサリナス村に歴史的にいつも存在しているが、正式に発見・公表されたのは1970年代にアメリカ、コーネル大学のホルモン障害の分野を専門とする内分泌科医であるジュリアン・インペラート医師によってである。彼女はドミニカ共和国にある「少女が少年に変わる」という奇妙な噂を耳にし、現地を訪れてそれが事実だと確認した。
それ以降、ゲヴェドースを学ぶために幾度かの調査が実施された。他に、ニューギニアやトルコなどの地域でもゲヴェドースは確認されているが、詳しく調査された記録は残っていない。
少女として幼少期を過ごし、多感な思春期を少女から少年への変化を実感しながら暮らす。そして残りの人生を男性として送るというその人生は一体、どのように受け止められるのだろうか。家族や友人などの周囲にとっても一大事であろう。しかしこのサリナス村のように性的マイノリティもごく普通に過ごしていけるような世の中になってほしいものである。
(文=清水ミロ)
参考:「BBC」、「Medical Daily」ほか
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