読者よ、あなたの審判を! 広島の元アナウンサー「窃盗」事件に冤罪疑惑
■証言があやふやだった「被害者」
「銀行の店内はずっと防犯カメラで撮影されていることは常識として知っています。こんなことをするはずがありません」
煙石さんは1審の時からそう訴えてきた。現場の銀行は煙石さんが長年利用してきた店舗だったという。そんな銀行の店内で他の客が忘れた金をくすねれば、たしかに防犯ビデオからアシがつかないはずはない。誰でもわかることである。
ちなみに煙石さんが事件の日、現場の銀行を訪ねた目的は損害保険と年金保険の保険料を前納するために500万円を引き出すことだった。そんな大金を引き出した日、他の誰かが置き忘れた6万6600円程度の金を見かけ、くすねようと思うのかも疑問である。
一方、「被害者」のA子は裁判の1審で、ツイタテで傍聴席から姿を隠して証人尋問を受けている。だが、その証言はあやふやで、核心部分をはぐらかすような答えも目立った。1、2審の裁判官はA子の証言を信用し、「封筒にお金は入っていた」と認めたが、傍聴席ではむしろA子の証言を疑う人が圧倒的に多かった。
■防犯カメラ映像の鑑定結果もシロ
このように事件の存在すら疑われる中、1、2審判決が有罪認定の拠り所にしたのが、防犯カメラの映像だ。映像には、煙石さんが記帳台に近づき、何か「白い物体」を手にした場面が写っており、1、2審判決共にこれを「煙石さんが封筒を盗んだ場面」と認めたのだ。
だが実際には、法廷のモニターで公開されたその映像は粗く、「白い物体」が何かは映像だけでは判別不能だった。一方、煙石さんは公判でこの物体について、「書き損じた払い戻しの用紙を手にしたのではないかと思うが、たしかな記憶はない」と説明したが、その曖昧な言い方には真実味があった。嘘をつくなら、「あれは払い戻しの用紙です」と言い切ることも可能だからだ。
さらに2審段階になって弁護側は民間の鑑定会社に依頼し、防犯カメラの映像を解析。証人出廷した解析担当者によると、煙石さんが「白い物体」を手にした際に記帳台上で手を動かした範囲は、封筒を置き忘れた「被害者」や封筒を見つけた男性警備員が記帳台上で手を動かした範囲と一切重なっていなかったという。この事実も煙石さんが手にした「白い物体」が問題の封筒だったことを否定している。
そもそも防犯カメラの映像には、煙石さんが「白い物体」を手にした後、お金を抜き取る場面は写っていなかった。それでも裁判官は「防犯カメラの死角に入った時に金を抜き取り、ポケットなどに隠す機会と時間は十分にある」(2審判決)というのだが、弁護側が上告後に映像をさらに解析した結果、煙石さんが防犯カメラの死角に入った時間は「1秒」しかなかったという。
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2024.10.02 20:00心霊読者よ、あなたの審判を! 広島の元アナウンサー「窃盗」事件に冤罪疑惑のページです。冤罪、片岡健などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで