「死なない程度にキメてもらおう」オランダ政府公認のドラッグまみれ音楽フェスに潜入! ヤバすぎる実態とは?

 ご存知の通り、オランダは大麻吸引や売春が合法な国だ。これは、合理的な考えを徹底するキリスト教プロテスタントの教えに基づいた、オランダ人独特の思想によるものだ。要するに「こういうものは放っておいてもマフィアの資金源になるし、撲滅するにはコストが高過ぎる。禁止したところで我慢できない人は手を出してしまうから、それならもう認めてしまって、自分たちで管理しよう」ということなのだ。そのため、オランダにはマフィアは存在しない。その代わり、オランダ在住の友人曰く「国がマフィア」なのだという。

 しかし当然、これを面白く思わない人間もいる。いくら「国がマフィア」と言えども、悪いことを考える人間が完全にいなくなるわけではない。下記の写真を見てほしい。これは病院内だけでなく、ADE会場各所に貼られていた警告文で、昨年ADEで亡くなった方が使用しているとされているドラッグが写真つきで紹介されている。

 ここに紹介されているドラッグは、ADEや現在の行政の方針を快く思わない人間が意図的に流した粗悪品だと考えられている。その証拠に、警告文内で紹介されているドラッグは、ADEのロゴマークを模して作られている。つまりこのドラッグをバラまいたこと自体が、自分たちが得られるはずだった稼ぎを奪っているADEや行政に対する皮肉であり、当てつけなのだ。当然、オランダ警察はこのドラッグを販売した集団を追ったが、未だ解決には至っていない。

 冒頭で紹介したドラッグサービスは、その対抗措置として取られた。このサービスの「粗悪品が出回っていてもドラッグをやることなど誰にも止められない。それなら行政だけではなく病院も巻き込んで、死なない程度に遊んでもらおう」という発想は、ドラッグ販売集団の意図を上回り、今年のADEは無事に終了した。

 これからも、オランダではドラッグに関する事故がゼロになることはないだろう。しかし、オランダがドラッグを違法にすることも決してない。なぜなら、ドラッグを違法にしたところでやる人はやるからだ。どれほど深刻な事態に陥ろうと、それを徹底した「合理的発想」で乗り越える。それが、オランダという国のアイデンティティーなのだ。
(文=カルロス矢吹)

取材協力:Wakyo

※本記事は、何らかのドラッグの摂取を勧めるものではありません。従って、本記事を参考にして生じたトラブルや問題について、編集部は一切の責任を負いません。

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