本当にグニャグニャの18歳少年 ― 身長45センチ骨折回数300を超えるスイマー
■水泳の練習を始めるや“水を得た魚”に
骨形成不全症という難病を伴って生まれたモイン君が初めて骨折したのは生後わずか6カ月の時であった。それから2歳になる1年半の間に50回の骨折が生じたという。
「ハイハイ(四つん這い歩き)をしていたモインの身体から、突然何かが砕けるような音がしたんです。しかしそれが骨折の音だなんて思いもよりませんでした。その後もモインが泣き止まないので、病院に連れて行って医者に見せたらモインが骨形成不全症であることがわかりました」とモイン君の母親は語る。医者からは治療法はないと告げられ、しかも立って歩くことはできないと断言されて両親は大いに困惑したという。加えて、とても脆弱な身体であるためそう長くは生きられないという示唆もあったそうだ。
その後9年間、両親はモインを治療してくれる医者がどこかにいないものかと必死に探し回った。その間に学校に通う歳になったモイン君だったが、どの学校も受け入れてはくれなかったため、モイン君は家で両親から基礎教育を受けていた。
モイン君に転機が訪れたのは2009年のことであった。有名な水泳コーチであるウメシュ・カルガタジ氏はモイン君が水泳選手になれる可能性を見抜き、コーチを買って出たのである。
コーチの申し出に両親は最初戸惑ったというが、カルガタジ氏の熱意ある説得に全幅の信頼を寄せ、“モイン選手”が誕生することになった。「モインをトレーニングすることは私にとっても大きなチャレンジになりますが、私はモインに人生の希望と目的を持ってもらいたいのです」とカルガタジ氏は語る。
こうして水泳のトレーニングを開始したモイン君だったが、まさに水を得た魚のようにめきめきと泳ぎを上達させていく。トレーニング開始から9カ月後、初めて参加した障がい者水泳大会でモイン君はなんと金メダルに輝いたのである。
陸の上のモイン君は部屋で詩を創作したり、ビデオゲームをして過ごすことが多いということだが、現在はパラリンピックに向けた水泳の練習が最優先の生活を送っている。この夏、リオの水泳競技会場でモイン君がどんな勇姿を見せてくれるか期待したい。
(文=仲田しんじ)
参考:「Daily Mail」、「The Hindu」ほか
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