血液型占いも県民性も科学的根拠なし?
血液型占いも県民性も科学的根拠なし? 軍事由来のデタラメ占い
『血液型人間学』の内容はシンプルだ。能見本人が出会った人間の印象を、血液型ごとに大雑把に分類したものでしかなかった。分類は能見本人の主観が多いに入ったものであり、客観的、学術的な研究とはとうていいえないものであった。だが、本書において能見はデータの無断引用を一切禁じたため、建設的な批判が生ずることはなかった。
能見正比古は放送作家であり、わかりやすく大衆に受ける文章を書くことに長けていた。そもそも、完全に過去の産物となっていた血液型性格分類を掘り起こし、プロデュースするトレンド力も持ちあわせていたといえる。血液型占い自体が、「いわれてみれば何となく当たっている」ものであり、迷信と親和性が高い、日本人の気分とうまくマッチングしていたことも影響しているだろう。実際、世界中を見渡してみても血液型占いは、日本および日本の統治下にあった韓国や台湾でしか浸透していない。
血液型占いの代表的なエピソードとしては歴代首相の血液型があげられる。歴代の首相の血液型にO型が多いのは、派閥間の政策調整能力などに長けたためといわれている。だが、近年は派閥政治が終わり、真面目とされるA型や個人主義ともいれていたB型が活躍する余地も出てきたというものである。ちなみに安倍晋三首相はB型である。だが派閥政治の象徴ともいえる田中角栄もB型なのだ。この時点で、派閥政治に強いO型という定義は崩れ、例外が生じてしまう。結局、どうとでもいえてしまうのが血液型占いの実情だ。
現在は、ブラッドタイプ・ハラスメント(ブラハラ)という言葉が存在する通り、テレビや雑誌などのメディアで血液型を露骨に取り上げることは少なくなった。だが、民間レベルにおいては、血液型の話はいまだ健在である。日本人は無宗教性がよく取りざたされる。もしかしたら血液型占いこそが、最大の民間信仰なのかもしれない。
(王城つぐ/メディア文化史研究)
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