生首、大量殺戮…ツイッターを“凶器”にする「イスラム国」の世界を騙した卑劣なバイラルマーケティング戦略5例

●大量殺戮で威嚇
 ソーシャルメディアでの拡散を当て込み、外国人捕虜の大量処刑シーンの他に、生け贄の死体、溺死体、首輪爆弾を装着させられた悲痛な人びとを映し出す。なんと台本があり、高解像度カメラを駆使したアングル、臨場感を煽るかのような旋律のコーラン大詠唱も入っている。

●ハッシュタグ・ハイジャッキング
 まったく無関係なハッシュタグを乗っ取り、ツイッターボット(ツィッター機能を利用し、一定間隔で自動ツイートするシステム)で彼らのメッセージを大量にバラまく。2014年のサッカーW杯ブラジル大会の期間には、ISの企てによって惨たらしい生首の写真が広まってしまった。そのキャプションとは、次のようなものだった。「これが我らのサッカーボール。人間の皮製。#WorldCup」

●ドローンで戦争の生中継
 優秀な“偵察隊”として戦場へドローンを飛ばし、リアルタイムの映像をネットで配信する。もちろん撮影した動画は、ソーシャルメディアでのプロパガンダ映像としても流用される。

●プレスリリース
 捕囚した欧米のジャーナリストも無駄にはしない。「ISライフがどれほど魅力的か」を英訳させ、外国人戦闘員のリクルートに一役買っている。また、一般企業のごとく“定期会報誌”「ダービク」もネットで発行している。その記事の中には、組織内の「“小児病院グランドオープン”のお知らせ」というものまで。どこまでも人を食ったような連中だ。

●“カワイイ”作戦
 IS戦闘員の多くもツイッターやフェイスブックを利用しているが、そこには目を疑うほどの“カワイイ”光景が溢れている。ISって「いいね!」とでもいわんばかりに。なかでも強烈なのが「ジハードの猫ちゃん」――もはや病んでいるとしか思えない。

 人と人とを結びつけ、世界を幸福にするのがソーシャルメディアの役割であるはずだが、どうやらISに理屈は通用しないらしい。世界を混乱へと導こうとする輩が、これらのメディアを用いることをなんとか阻止できないものか? 私たちには、常に一歩引いた姿勢で、情報を十分に精査しながら利用することが求められているといえそうだ。
(文=佐藤Kay)

参考:「Popular Science」、「Perspectives on Terrorism」、「Al Arabiya News」、ほか

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