【奇景】入水自殺者の足取りを辿るかのよう？ 丘から海へと立ち並ぶ海中電柱群（千葉県）

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■消えゆく奇景「電線群」

　江川海岸の電線群が続くその先に、蜃気楼のごとく揺れ動くのは、京浜工業地帯の工場群だ。その立地から考えれば、それらは対岸にあたる神奈川県川崎市から横浜市にかけてのエリアに点在する工場で、黄昏時にはかつて『金曜ロードショー』のオープニングで流れていた異国の景色のような、どこか不思議な郷愁を誘う景色を見ることができる。金色の空でその翼を広げる鴎たちを眺めていると、どこからともなく同番組のOPテーマ『フライデー・ナイト・ファンタジー』が聴こえてきそうだ。

　だが、こうした景色が見られるのも、そう長くはないのだという。地元民の話によると、金田海岸の電柱は、昨夏に何本か倒壊してしまったことを機に、その危険性から撤去が行われ、今のようなあまりに寂しい景色となってしまったそうだ。そのためなのかは不明だが、ネット上などでは、金田以外の現存する電柱群についても、順次撤去されるのではないかという声が上がっている。おそらく、この海へと続く細長い影は、そう遠くない将来、我々の記憶の中だけの存在となっていくことだろう。

 
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