トルコの地下室で見つかった「招き猫のミイラ」! 1000年前に生息していた巨大ノラ猫か?

■10世紀から13世紀の間に作られたものか

 このミイラがネコ科の動物であると考えるのは、その形状からだけではなく歴史的な側面からも妥当であるという。かつて古代エジプト文明では人間以外にもネコをはじめ、イヌ、サル、鳥(主にトキ)、ワニなどの動物がミイラにされていた歴史的事実があるのだ。

 動物の中でも特にネコはよくミイラにされていたということだ。古代エジプト文明では、人間の食糧を脅かすネズミなどの害獣を駆除するためにネコが大事にされており、高価な宝石などで飾られるネコもいたという。決して少なくない数の飼い主が愛猫の死を悼み、人間と同じようにミイラにして葬っていたのである。また当時作られた、エジプト神話に登場する猫の頭を持つ女神・バステト(Bastet)の像には、頭部が本物のネコのミイラになっているものが多く残されているということだ。

 そしてこの古代エジプト文明の風習はアナトリア半島にも伝わり、このトルコでも10世紀から13世紀の間にネコのミイラが作られていたことがわかっているという。ということは、今回発見されたこのミイラもその当時に作られたものである可能性があることになる。このミイラが1000年もの歳月を経ているとすれば驚くばかりだ。

 トルコ中央部のアクサライやニーデ、カッパドキアのウフララ渓谷(Ihlara Valley)などでは10世紀から13世紀頃の修道僧のミイラが発見されており、アクサライ博物館やニーデ博物館で展示されている。ちなみにニーデ博物館では東ローマ帝国時代の子どものミイラが展示・公開されている。

 今回の話題でトルコにもミイラが多く残されていることが知られることになったが、トルコのミステリーといえばデリンユクやカッパドキアなどの地中に眠る広大な地下都市遺跡だろう。昨年にもまた新たな地下都市が発見されて話題を呼んだことも記憶に新しい。まだまだ何が出てくるのかわからないトルコの歴史遺産の数々、次はどんなお宝が発見されるのか、実に興味深い。
(文=仲田しんじ)


参考:「Daily Mail」、ほか

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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