学者「宇宙人の監視装置かも…」2017年、25年間謎の物体「1991VG」が地球の側を通過する!

■エイリアンが関与した可能性も?

 さりながら、より俯瞰的な観点から謎を解き明かそうと試みる向きもある。オーストラリアのアデレード大学に籍を置く天文学者であるダンカン・スティール氏は、1991VGはエイリアンが放った監視装置である可能性を指摘している。「1991VGは人工物ですらなく、地球外の技術によってもたらされた物体である」という主張である。

 ただし、スティール氏はその結論が全てではない旨を、インタビューに応じ、語っている。特定の条件化では、単なる小惑星であっても、1991VGのように高速の自転を行うことが近年明らかとなったためだ。

「可能性として、1991VGが月面への衝撃による飛来物であるということがありえます。ほかに、熱排出によるヤルコフスキー効果によって長期間にわたり周囲に圧力をかけ、物体が回転し続けることもありえます」と、スティール氏によれば疑問の解決は、まだパズルのような段階に過ぎないという。

 しかし、1991VGが仮にエイリアンの監視装置であるとするならば、それはどこから、どのようにしてやって来たのだろうか? その答えをコンピューターの力を借りて導き出したのは、英エジンバラ大学の数学者である、ダンカン・フォーガン氏とアルウェン・ニコルソン氏だ。二人によると、エイリアンの宇宙航法は、惑星の重力場を利用して行われるという。

 重力場を利用したスイングバイ(重力アシスト)は、ヒトの手による宇宙船も、まま利用する技術であるため、SF小説的なイメージではない。1991VGは、数多くの惑星を飛び石のようにして渡り歩きながら、堅実な方法で太陽系へと足を延ばしてきたのかもしれない。

■2017年に地球へ再接近……真相の解明なるか

 悩ましいことに、ここへきても1991VGの謎は深まるばかりだ。小惑星か? 宇宙開発競争の名残か? はたまたエイリアンの監視装置なのか?

 発見当初は地球まで約46万キロまで接近していた1991VGは、その後地球を遠く離れてしまったが、2017年の夏には再度地球に接近してくる。数十年ぶりにめぐってきた絶好の機会を通じ、1991VGの正体が明らかとなることを期待したい。
(文=Forest)

参考:「Ancient Code」ほか

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