暗記パン並みの効果? 皮膚を刺激するだけで外国語学習能力が飛躍的に向上!(DARPA発表)

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 身体の隅々まで張り巡らされている末梢神経は、臓器、筋肉、皮膚などからの刺激を脊髄に集約し、脳のニューロンとつながれ、生物としての身体機能を維持するための情報を送受信している。ところが、この末梢神経系が単に情報の送受信をしているだけではなく、さまざまな機能を持っているらしいということが最近の研究でわかってきている。


■末梢神経を刺激すると学習能力が向上する

暗記パン並みの効果? 皮膚を刺激するだけで外国語学習能力が飛躍的に向上!(DARPA発表)の画像1末梢神経系 画像は「Wikimedia Commons」より

 DARPA(アメリカ国防高等研究計画局)では、末梢神経系への刺激が、特定の疾患の治癒に有効であることや、義手・義足といった制御力を高め、感覚を鋭くするなどの研究が以前から進められているが、最新の研究で注目を浴びているのが、学習能力そのものを高める働きが、末梢神経系への刺激によって促されるというものである。

 つまり、医学的に、「学習」するという脳の働きは、いままで脳本体のみで行われていると信じられてきていたが、学習をより効率的に行う“助け”を末梢神経系が担っていることがわかりつつあるということである。

 DARPAにおけるこの研究プロジェクトは、TNT(Targeted Neuroplasticity Training:特定神経可塑性トレーニング)と呼ばれ、脳内の神経接続を活性化させるために必要とする正確な末梢神経への刺激を探るもので、この研究の成功は、国防省内におけるさまざまな訓練の時間を短縮し、ひいては予算を削減できる可能性があるという。

 特に、外国語の習得、諜報情報の分析、暗号の解読などという、習得までに一定の時間が必要とされている分野においての、時間短縮が望めるということになる。また、TNTは従来のDARPAの神経科学や神経工学の分野の中心であった、失われた身体機能を回復するための研究とは異なり、通常の状態よりも優れた状態を作り出すための研究であるということも注目されている。

■末梢神経への刺激が新たな脳内神経ネットワークを構築

 TNTのプログラムリーダーであるダグ・ウェーバー氏によれば、「皮膚を通して特定の末梢神経に与える簡単で痛みもない刺激が、脳の学習領域の活性化を促している。つまり、末梢神経からの特定の信号が脳の神経科学物質を誘発し、学習や経験に対して、新たに脳内神経ネットワークを構築している」とのことである。

 現時点では、それがどういった生理的メカニズムによって行われているのかまでは不明であるが、末梢神経への刺激が脳の限界点を再設定すると考えられている。TNTは、正確な刺激の種類と効果のある場所を特定し、このしくみを解明するための研究をさらに進めていくとしている。

 子供のころ、ドラえもんのひみつ道具の暗記パンがどうしても欲しかったという人も少なくないだろう。暗記パンのように「楽して勉強」とまではいかないまでも、この研究の成功は、ある意味学習を楽にしてくれる可能性を十分秘めていると感じさせる。近い将来、教室で勉強しながら手足を刺激するような光景が見られるのかもしれない。
(文=高夏五道)

参考:「DARPA」ほか

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