水の汚染が原因で恐怖の皮膚病が流行? 政府は否定・隠蔽で、カナダ先住民がブチギレ!
カナダ・オンタリオにある先住民の町では、謎の皮膚病が子どもたちの間に蔓延していると、3月23日の「DailyMail」が報じている――。
■皮膚病の流行から1カ月後にようやく政府が動き出す
16人の子どもが治療のために避難し、政府は医者を戸別訪問させて患者の発見に努めていると発表した。しかし北オンタリオ先住民グループの「Nishnawbe Aski Nation」代表アルビン・フィドラーは、この病気が蔓延し出してから、1カ月もたってやっと政府が動き出したことに不満を示す。
フィドラーは政府が現在行っている援助に感謝を示しつつも、今まで政府は先住民を無視していたという。彼は、「緊急事態が宣言されて1カ月もたつのに、我々はいまだに衛生大臣との会合の日時を決めている始末だ。その間に事態はどんどん悪化している」と憤る。また、皮膚病に罹った子どもの写真がインターネットで広まってから、政府が急に動き出したことも指摘している。
この皮膚病の原因は今のところ水の汚染、もしくは家のカビのせいではないかと言われているが、カナダの保健大臣は飲料水は安全だとしてこの説を否定している。しかし地域住民は入浴や洗濯に水道水を使用することを恐れており、フィドラーは政府以外の第三者の独立した水質分析結果を要求している。またNDP(新民主党)の先住民族問題評論家であるチャーリー・アンガスは、先住民族の環境には多くの問題が蓄積しており、この皮膚病は氷山の一角だと語る。
昨年、発足したジャスティン・トルドー政権は先住民族保護を行政の基礎理念とした。トルドー首相は84億ドル(約7200億円)をファーストネイションズ(イヌイット、メティ以外のカナダ先住民)の人々の教育、及び水や地域医療サービス向上のために使うことを約束している。
■政治問題に発展するも皮膚病を早く治すことが先決
この皮膚病は2005年にも居住地で蔓延したことがあり、「伝染性膿痂疹(とびひ)」ではないかと指摘する声もある。「とびひ」は珍しくない皮膚病だが、これだけ悪化し蔓延した背景には、先住民族の居住地の医療サービスの数不足、居住地家に大人数が詰め込まれている住環境、石鹸などの衛生日用品の価格が非常に高いことなどが影響していると考えられる。
カナダには、54万人もの「ファーストネイションズ」が住んでいる。彼らの多くはカナダ政府より与えられた2200カ所の保留地に住むが、60年代までは電気も水道もなく下水道施設も整備されていないひどい環境であった。現在はかなり改善されたとはいえ、いまだ彼らの住環境は「平均的カナダ人」に比べるとひどく劣っているのが現状だ。
今回の問題は子どもの皮膚病にとどまらず、「先住民族vsカナダ政府」の形をとる政治的な問題となりつつある。しかし最も気の毒なのは皮膚病にかかり、隔離された子どもたちである。政治的な戦いよりも、まずこの皮膚病を早く治すことが先決ではないだろうか。
(文=三橋ココ)
参考:「Daily Mail」、「CTV News」、「VICE」ほか
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