停電したミール宇宙船で密かに成長していた“謎の球体”の正体は!? 専門家「生命は宇宙のいたるところに存在している」

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 1986年の打ち上げ以来、15年にわたり多様な用途で利用されてきた旧ソ連の宇宙ステーション「ミール」。その長い歴史において、ステーション内部で予期せず生命が育まれた一幕があったと、海外のメディアが報じている。


■目立たない電源ハッチの中には……

 ソ連が崩壊し、熾烈な宇宙開発競争が過去の話となった1998年。アメリカ航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士たちは、長期の宇宙滞在ミッションについて有用な情報を得るために、ミール宇宙ステーションを訪れていた。彼らが滞在したステーションは、衛星軌道に定着してからというもの、いくたびかの停電に見舞われており、その間、温度や湿度は通常のレベルを超えて変化していた。

 ロシアによる微生物の活性化を評価するプログラムに立ち会うにあたり、飛行士たちは予備の科学実験設備が満載された「クバント2」というモジュール区画に足を踏み入れた。そこで、目立たない電気パネルのハッチを開いたとき、彼らは驚くべき光景を目の当たりにした。

spacebacteria1.JPG画像は「Science Channel」より

 飛行士たちが目にしたのは、無重力空間に漂う液状のかたまり――微生物が寄り集まった球体であった。

「目撃報告によると、球体はバスケットボールとほぼ同じ大きさだったようです」と、ジョンソン宇宙センターに所属する健康科学者のマーク・オットー氏は取材に答えた。

■浮遊する球体の正体 ― バクテリア、真菌、ダニ

 徹底的な検査によって、飛行士たちを仰天させた個体のほかにも、さらに複数の球体が発見された。そのうち2つは茶色で、残りは乳白色をしており、いずれも不潔な状態にあった。分析のために地球に持ち帰られたサンプルによると、数十種類のバクテリアや真菌に加え、多少の原生生物やダニ、スピロヘーター(細菌と原虫の中間に位置する真正細菌)が含まれていたという。

 球体が成長したと思しき電気パネル裏は、気温30度前後と暖かく、微生物たちにとっては抜群に居心地のよい環境が整っていた。さらに、微生物たちのコロニーは窓の周りのゴムパッキン、宇宙服の部品、ケーブル絶縁とチューブ、銅線の絶縁体の上、あるいは通信機器の上でも成長していることが確認された。

spacebacteria2.JPG「ミール」内部の様子 画像は「Wikimedia Commons」より

 こうした無用な微生物たちは、宇宙船内において健康への深刻な影響をもたらす可能性があることを、カーネギー研究所の主任研究員であるアンドリュー・スティール氏は指摘する。

「微生物たちはスチールやステンレスの質を低下させますし、異なる素材の接続部でガルバニック腐食(電気的作用による腐食)を引き起こします。また、彼らは鉄材のくぼみやガラスの縁、およびゴムを酸で脆くさせることもあります。加えて、空気や水のフィルターも汚染するでしょう」(アンドリュー・スティール氏)

 昔から“航海”には、望まれない同居人がつきものだ。コロンブスが新大陸を発見した15世紀、木造船には、ダニ、シラミ、ノミ、ウジ、ネズミといった生き物たちがどこからともなく乗り込んできて、逃げ場の無い船乗りたちを悩ませたという。舞台が宇宙に移っても、依然としてこの構図は変わらないようだ。

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