男の低い声は3倍影響を与えている?「低い声」に関する最新研究結果が面白い!
福山雅治やサザンオールスターズの桑田佳祐、コブクロの黒田俊介など、低音で聴かせる男性ボーカルは特に女性のファンが多いような気がする。もちろん男性のファンも多いが、低音ボイスに対する反応は女性と男性ではずいぶん違ったものであるようだ。
■低い声はモテるためではなくほかの男性を脅すためだった!?
男性の低い声はクジャクの飾り羽のように、異性を惹きつけるために人間の男性が進化の過程で獲得した特徴であるという説がこれまで有力であったが、最新の研究では別の解釈が示唆されることになった。男性の低音ボイスは女性に好まれるためだけに獲得した特徴ではなく、男同士の競争の中でより権力を得るため、他の男たちを脅すために養成してきた特徴であるということだ。
米・ペンシルベニア州立大学のデイビッド・プッツ准教授が主導する研究チームは先ごろ、学術誌「Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences」に男性の声に関する人類学的研究を発表した。
「(低音の声など)男性の特徴が何のためにデザインされたのかという観点で考えた場合、女性を惹きつけるためであるというよりも、ほかの男性を脅すためである意味のほうが大きいのです」とプッツ准教授は語る。今回の研究は男性の声質と、パートナー探し、魅力、ほかの男性に対する支配力との関係を実験を交えて追究したものだ。
研究ではまず最初に、人間はもちろんゴリラやチンパジーなどの類人猿や世界中のサルの、“地声”を幅広く録音、収集した。地声とは鳴き声や遠吠えではない平静時の声質のことだ。その目的は、種によってどれほどオスとメスの地声の音質に違いがあるのかを知るためである。
1721もの声のサンプルを分析したところ、人間はオスとメスでかなり声質が違っている種であることが確認されたのだ。そしてオスとメスの声質の違いが大きい種は、概して強いボスによる一夫多妻制の社会を築いていることもわかった。ということは、我々の祖先もまた一夫多妻の社会で生きていた可能性が高いことになる。
一夫多妻ということは、パートナー獲得競争を含めて男性間の競争が激しい社会である。そこでより“男性性”がきわだつ低い声が、ほかのオスをけん制するために発達してきたと考えられるという。今日でも男性の特徴である低音ボイスは、じつは先祖たちの激しいサバイバル競争と淘汰によって獲得したものだったのだ。
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