「仮面の男」の正体が遂に判明! 350年封印されたフランスの“鉄仮面伝説”の真相とは?
■闇に葬り去られていた真実
「仮面の男」ことユスターシュ・ドージェの正体、それはなんと、ルイ14世による治世前期に宰相を務めたマザラン枢機卿の出納官、すなわち会計係だったという。マザラン枢機卿は長年にわたり莫大な資産を蓄えていたが、ソンニーノ教授によると、会計係だったユスターシュ・ドージェはその金の出処について“決して口外してはならない真実”を知ってしまったようだ。
「私が特定できたのは、マザラン枢機卿が当時の英国王室から莫大な金を騙し取っていたということまでです」
「ドージェは、うっかり誰かに真実を口走りそうになってしまったのでしょう。捕まった時に、彼はマザランに脅されたに違いありません。『身元を明かして真実を漏らせば、すぐに処刑するぞ』と」(ソンニーノ教授)
今回の研究では言及されていないが、投獄後のユスターシュ・ドージェが時折ベルベット製の仮面を着けていた理由は、やはり知人に顔を見られ、身元が割れてしまうことへの防御策だったのかもしれない。ちなみに、真実が闇に葬り去られてしまった原因について博士は、デュマやヴォルテールらによる脚色が大きく影響した(数々の研究者たちが作品の影響を受けすぎた)ためだと非難している。
なお、研究結果の詳細は、教授の新著『The Search for the Man in the Iron Mask: A Historical Detective Story(「仮面の男」徹底調査:歴史の真実を追い求めて)』に収められているので、興味のある読者は手にとってみるとよいだろう。いずれにしても、数百年の時を経て、とうとう「仮面の男」ことユスターシュ・ドージェの汚名は晴れた。彼は、当時の理不尽な政治の犠牲者だったのだ。今後は作品を楽しむと同時に、長きにわたり誤解され続けてきた男の真実にも思いを巡らせたいものだ。
(編集部)
参考:「UC SANTA BARBARA」、「Live Science」、ほか
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