予測不能な「ガンマ線バースト」直撃でアッという間に人類滅亡!宇宙の彼方から地球が狙い打ちされる!?
■4億5000万年前にガンマ線バーストが地球を直撃していた!?
では、もしもガンマ線バーストが地球を直撃したり付近をかすめたりした場合、具体的にどうなってしまうのか。核ミサイルで攻撃される、もしくは巨大隕石が衝突する惨状をイメージしてしまいがちだが、ガンマ線バーストの直撃を受けても、実のところ目に見える被害はあまりないという。しかし、地球環境を保護しているオゾン層が破壊されてしまうことで、宇宙線や電磁波が直接地上へと届き、まず電気系統のインフラに深刻な影響を及ぼす。これによりコンピュータや電子機器をはじめ、サーバーやデータセンターなどが壊滅、もちろん携帯電話なども使えなくなる。人工衛星もほとんどが機能を停止するだろう。まさに現代文明が崩壊するといってもよい。
また、大量のガンマ線に晒されることで人間の遺伝子が損傷し、がんや染色体異常が多発することになる。もちろん人間だけでなく、ほかの生物も遺伝子レベルの深刻な被害を受けるだろう。そして、一度破壊されたオゾン層が復元するには、少なくとも数年は要するので、その間に急激に進む気象変動と環境の過酷化で、生物の大量絶滅を迎えると考えられているのだ。
地球の歴史上、これまでも何度か生物の大量絶滅が起こったと考えられているが、その中でも4億5000万年前のオルドビス紀末の大量絶滅は、一説によればガンマ線バーストが引き起したものであるともいわれている。
この説は、2005年に米・カンザス大学とNASAの共同研究で指摘された説で、約6000光年先から発射されたガンマ線バーストが地球を直撃したという推測だ。このとき、10秒間ほどの強烈なガンマ線が地球に照射されたことでオゾン層の約半分が破壊され、地表が宇宙線や電磁波、太陽フレアに晒されることによって生命の大半が死滅したということだ。はたして、このような大量絶滅が近いうちに再び起こるのだろうか。
災害や事故など、我々は日常生活の上でいくつものリスクを抱えて暮らしているが、地球にとって宇宙空間もまた実に危険に満ちた安心できない環境ともいえる。ロシア科学アカデミーの宇宙学者、ヴャチェスラフ・ドクチャーエフ博士は、2011年に発表した論文の中で“第3段階”の文明を持つ宇宙人が、超大質量ブラックホールの内部で暮らしているという指摘をして世を驚かせたが、このガンマ線バーストなどのリスクを考えれば、高度な文明を持つ宇宙人が、実はきわめて安全といわれているブラックホール内部を拠点に選ぶのもうなずけることかもしれない。
ブラックホールをすみかにできる技術を人類が獲得するまでには、まだ途方のもない年月がかかる。やはり当面は火星移住の実現を目指し、大量絶滅の“リスク分散”を早期に達成すべきなのだろう。
(文=仲田しんじ)
参考:「Daily Mail」、ほか
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