「日本会議すら日本を理解してない」「天皇陛下の“お気持ち第2弾”も」右翼に支持され、左翼が動かす安倍政権の歪さを康芳夫と苫米地英人が斬る!
――政権的にはあんなに右翼がかっているのに、確かにそれは不思議ですね……。
苫「日本会議も安倍さんもわかってないんですよ。“強い日本をもう一回復活させたい”“最低でもアメリカと対等に戦えるぐらいの国にしたい”という論理の一方で、日本をハンドルするのが得意なテクノクラート(高級官僚)に完全に骨抜きにされて、実際は天皇陛下を思いっきりないがしろにした改正憲法に変えている。
僕は、天皇陛下の今回の『生前退位』というご意向は、“あの新しい憲法の発布者になりません”って、意思表示だと思ってますからね。まず、“天皇陛下をないがしろにしてる”し、その前に、“戦争やる”って言ってるし」
康「僕も『生前退位』の問題をこの間『トカナ』で書いて大問題になったんですよ。例の『ご発言』についてね。あれははっきりいって、安倍内閣に対する、《天皇を中心とした皇室のクーデター》です。天皇はいま内心大変怒ってるわけ。天皇陛下がこの状態を続けると憲法9条の改正が、できなくなっちゃう。だから、安倍さんは天皇のご発言を1回限りのものにしてそれ以上は阻止したわけですよ。しかも、自分の言うことを聞かなかった宮内庁長官をクビにして、新しい人物にすげかえた。さらにNHKを押さえ込んで、報道もコントロールしちゃったからね」
苫「たとえば、戦前の日本における“三軍の長”は天皇陛下だったわけです。でも、GHQは長い目で日本の統一をみた時に、《宗教としての天皇制》を理解して残すわけですよ。戦争責任は下っ端の東条英機にとらせて、天皇制を“利用させてもらおう”と政治的な判断を下したわけです。もしあの時に天皇陛下を殺傷でもしていたら、今のイスラムのように、GHQに対して『ジハード』が起きてましたからね。だから、彼らは当たり前の判断で、《象徴天皇制》という枠組みを残したんです。でも、昭和天皇の時代以降“『三軍の長』というポジションはやるべきではない”って判断はしたわけですよね。それを今度は天皇陛下ではなくて、内閣総理大臣がやるという。これは《謀反》ですよ」
康「はっはっは、一連の憲法改正の動きが謀反であるとはねえ」
苫「議院内閣制において総理大臣が“衆議院解散権を持つ”ってことは、圧倒的に総理大臣に有利で、《国会よりも上》ですよ。さらに改正憲法の中には、100日間という限定は付いているけど、『行政令を出すことができて、法律と同じ効力を持つ』っていう立法権を総理大臣に持たせるわけですからね。これはアメリカ大統領でさえ持ってないものですよ。《立法権を持って、衆議院解散権持った内閣総理大臣》ってどういうことかと! それはワイマール憲法の時に全権委任権を渡されちゃった《ヒトラーと同じポジション》なんですよ」
康「まあ、たしかにかなり似てますよね」
苫「それを見て、さすがの平成天皇も“それには俺はサインできない”っていうのが、『生前退位』の間違いないご意向だと思いますよ」
康「なるほど。ところでこの後、《第二のご発言》があると思いますか?」
苫「そこは官邸が上手に宮内庁を抑えているんじゃないかと思いますけどね。僕としてはぜひやっていただきたいけれど」
康「僕は、天皇は根性のすわっている方だと思っている。だから、黙っていないで、《第二のご発言》、たとえば、“安倍政権は憲法に違反している”“第9条を改正することは決まって許されない”なんていうことをおっしゃる可能性もある。そしたら国内は大混乱に陥りますよ」
苫「簡単に言うと、軍が“攻撃能力を持つ”ということと、“実際にやります”というのは違うわけです。もの凄いわかりやすい言い方をすると、改正憲法は“いざやられたらば、世界中の国を滅ぼすぐらいの軍事力を保持しますよ”“だけど絶対に我々は攻撃しません”って憲法じゃないといけないと思うんですよ。それが、今の政府のはただ“攻撃しますよ”だからね」
康「もはや“先制攻撃なき軍隊”なんてのはね、ブラックジョークレベルの屁理屈でしかないですよ」
苫「そこなんです。先制攻撃能力のある軍隊は持つ。ただし、それは憲法で言っちゃダメです」
康「だけど苫米地さん、北朝鮮のガキ将軍が今、弾を込めて日本を撃とうとしてるとわかった時、先制攻撃なしでどうやって防ぐの? それは憲法とか超えて非常事態なわけじゃないですか」
苫「でも、それはあくまで非常事態ですから、あらかじめ憲法に書く必要はないんですよ。それに対する能力を相手がわかる程度の秘密レベルで維持すればいい。先制攻撃能力も含めて」
康「もちろん、そうですよ。おっしゃる通りその必要性はないしね。でも現実にね、必ず非常事態ってのは起きるわけだから、いざとなったら『非常事態』ということで対応すべきだ。僕もいざとなったらそれでいいし、それしかないと判断します」
苫「日本国憲法は《専守防衛》が正しいんですよ。ただ、“防衛とは何か?”って定義は時代によって変わるんです。サイバーの時代は、《相手国のサーバーを落とすことが防衛》なんです」
康「僕の“解釈”では、日本の憲法は専守防衛も認めてないってことになるんです。僕は、それはとてもおかしなことだと思うから、そこはしっかり法的手続きを守って改正すべきだと思うけどねえ」
苫「そこは上手に。安倍さんと安倍さんの支持者たちは、アメリカとも戦えるぐらいの軍事力を持つ国を持ちたいけど、実際に憲法の文を書いてるのは全部官僚で、頭の中はアメリカ人という人たちですから、全然違うように書いているんです。だから、新しい憲法は、“米軍がいかに有利になるか?”しか考えてないんですよ。ってことは、《嘘の民主主義》じゃないですか。僕はそれが嫌なんだよね」
対談後にわかったことだが、康氏は後半にきて苫米地氏の考えを理解してきたという。
果たして、《恐怖の洗脳対談》は次回、最終局を迎える。とどまらぬ知的暴走の後にふたりの巨人たちが辿り着いた一致とは――。
(文・写真=福田光睦/Modern Freaks Inc. 代表・Twitter@mitutika)
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●苫米地英人(とまべち・ひでと)
1959年、東京生まれ。認知科学者(計算言語学・認知心理学・機能脳科学・離散数理科学・分析哲学)。カーネギーメロン大学博士(Ph.D.)、同Cylab兼任フェロー、株式会社ドクター苫米地ワークス代表、コグニティブリサーチラボ株式会社CEO、角川春樹事務所顧問、中国南開大学客座教授、全日本気功師会副会長、米国公益法人The Better World Foundation日本代表、米国教育機関TPIインターナショナル日本代表、天台宗ハワイ別院国際部長、財団法人日本催眠術協会代表理事。マサチューセッツ大学を経て上智大学外国語学部英語学科卒業後、三菱地所へ入社。2年間の勤務を経て、フルブライト留学生としてイエール大学大学院に留学、人工知能の父と呼ばれるロジャー・シャンクに学ぶ。同認知科学研究所、同人工知能研究所を経て、コンピュータ科学の分野で世界最高峰と呼ばれるカーネギーメロン大学大学院哲学科計算言語学研究科に転入。全米で4人目、日本人として初の計算言語学の博士号を取得。帰国後、徳島大学助教授、ジャストシステム基礎研究所所長、同ピッツバーグ研究所取締役、通商産業省情報処理振興審議会専門委員などを歴任。現在は米国認知科学の研究成果を盛り込んだ能力開発プログラム「PX2」「TPIE」を日本向けにアレンジ。日本における総責任者として普及に努めている。著書に『洗脳広告代理店 電通』(サイゾー)『日本の盲点(スコトーマ)』(ヒカルランド刊)『経済大国なのになぜ貧しいのか?』『現代版 魔女の鉄鎚』『まずは親を超えなさい!』『残り97%の脳の使い方』『英語は逆から学べ!』 『英語は逆から学べ!実践トレーニング編』『頭の回転が50倍速くなる脳の作り方〜「クリティカルエイジ」を克服する加速勉強法〜』『脳と心の洗い方〜 「なりたい自分」になれるプライミングの技術〜』(フォレスト出版)、『本当はすごい私』(講談社)『年収が10倍アップする 超金持ち脳の作り方』(宝島社)『洗脳』(三才ブックス)、『ドクター苫米地の新・福音書』(講談社)、『スピリチュアリズム』(にんげん出版)、『心の操縦術』(PHP研究所)、『洗脳原論』(春秋社)、『夢をかなえる洗脳力』(アスコム)、『洗脳護身術』(三才ブックス)、翻訳書に『CIA洗脳実験室』(デジタルハリウッド)など多数。
●康芳夫(こう・よしお)
1937年東京生まれ。国際暗黒プロデューサー、虚業家、家畜人ヤプー全権代理人、全地球を睥睨するスフィンクス。東京大学在学中に石原慎太郎と懇意に。石原慎太郎を隊長とする「国際ネッシー探検隊」や「オリバー君招聘」「猪木対モハメド・アリ戦」など、数々の奇抜な企画を立ち上げる。映画『渇き』にて俳優デビュー。松田翔太主演の連続ドラマ「ディアスポリス 異邦警察」(TBS)、熊切和嘉監督映画「ディアスポリス 異邦警察」にも出演。著書に『虚人と巨人 国際暗黒プロデューサー 康 芳夫と各界の巨人たちの饗宴』(辰巳出版)、『虚人のすすめ―無秩序(カオス)を生き抜け 』(集英社)など多数。
ディアスポリス公式サイト=http://www.dias-police.jp/
公式ツイッター=@kyojinkouyoshio
公式サイト=http://yapou.club
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