ワシントン・ポスト紙「ヒラリーは虚偽ニュースサイトによって敗北。背後にはロシア」「ソ連時代の諜報活動がそのままネットに移行してる」

 日本でもアメリカでも、新聞や雑誌などの紙媒体が凋落している一方で、ネットニュースサイトはますますにぎやかになっている。しかし大手メディアに言わせれば、これらネットニュースサイトのかなりの部分が虚偽情報を盛り込んだ“フェイクニュース”サイトで、その多くはロシア情報部によってコントロールされているというのだが……。


■WP紙「“フェイクニュース”によってヒラリーが敗北」

ワシントン・ポスト紙「ヒラリーは虚偽ニュースサイトによって敗北。背後にはロシア」「ソ連時代の諜報活動がそのままネットに移行してる」の画像1Washington Post」の記事より

 トランプ勝利というアメリカ大統領選の衝撃的な結末を、米大手メディアのほとんどは予期していなかったといわれている。選挙予測のプロでもある大手メディアの予想はなぜこうも見事に外れたのか。

 ワシントン・ポストなどの大手メディアは、ヒラリーの敗因は今日のネットメディアがもたらしたものであると最近になって主張している。TwitterやFacebookなどのSNS、そして特に一部のニュースサイトが発信している“フェイクニュース”によってヒラリーが敗北したのだと、元凶となるニュースサイトを非難しているのだ。

 選挙期間中、候補者についてのゴシップ的な話題を含むさまざまな報道が行われたことはご存じの通りだが、ワシントン・ポストなどによれば、その中には候補者をおとしめるための意図的なフェイクニュースが数多く捏造されて報じられていたという。例えばヒラリーの健康状態に関する虚偽報道などだ。

 そしてそれらのフェイクニュースの出所を探っていくとロシアに行き着くことが指摘されている。選挙期間中のフェイクニュースの数々はヒラリーを落選させるためのロシアによるプロパガンダ活動であったというのだ。活動の中心には事実上のロシア国営メディアである「Sputnik」と「RT」があり、実はその配下にいくつものフェイクニュースサイトを従えているという。独立したネットメディアとして運営されているものの、実はロシアにコントロールされているメディアが数多く存在するというのである。

 これを受けて超党派の調査チーム「PropOrNot」が、フェイクニュースサイトの“ブラックリスト”を公開している。200にものぼるニュースサイトがロシアの息がかかった“フェイクニュースサイト”であると特定され、アメリカの民主主義を破壊する目的で運営されていると警戒を呼びかけているのだ。

 同じくこの問題に取り組んでいるシンクタンクの「Foreign Policy Research Institute」のクリント・ワッツ氏によれば、冷戦時代のソ連の強力なプロパガンダ活動がソーシャルメディアに活躍の場を移して復活したことを指摘している。

 200ものニュースサイト、そして無数のSNSユーザーがロシアの国益のために“虚偽報道”を捏造、拡散させてヒラリーを落選させたというこのワシントン・ポストの記事、もちろん真実であるとしたら大ニュースであるが、信頼ある大手メディアの報道としてはいささか突拍子もない感じがするのは否めないのだが……。

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