ブラジルで“人喰いコウモリ”が進化・急増中!? 続々と人間の血を求める異常事態、狂犬病懸念も

 鳥の血を餌にしている吸血コウモリたちが今、人間の血液を食料にするべく進化中かもしれない――。ブラジルで、そんな不気味な研究が発表された。英「Daily Mail」や「New Scientist」が報じている。

ブラジルで人喰いコウモリが進化・急増中!? 続々と人間の血を求める異常事態、狂犬病懸念もの画像1画像は「The Daily Mail」より引用


■吸血コウモリ、実は3種類だけ

 コウモリというと、ヴァンパイア伝説との関連もあり、吸血動物というイメージがつきまとう。しかし、約980種が存在するといわれるコウモリ目の中で、動物の血液を餌にする吸血コウモリは、たった3種類しか存在しないのだ。

 この3種類の吸血コウモリは、いずれも南北アメリカ大陸に生息しているが、人間の血液を吸うことがわかっているのは「ナミチスイコウモリ」だけだ。残りの2種類、「シロチスイコウモリ」と「ケアシチスイコウモリ」は、これまで大型の鳥の血だけを餌にしていると考えられてきた。


■コウモリが新しい獲物(人間)の血を試している

 そして今回、新たに人間の血を餌にしていることが判明したコウモリ、それがケアシチスイコウモリ(Diphylla ecaudata)である。ブラジル北東部に位置するカチンバウ国立公園で生息するケアシチスイコウモリの糞70検体を調べたところ、3検体に人間のDNAが含まれていた。公園には先住民のコミュニティが存在し、数家族が暮らしているという。

 前述の通り、従来ケアシチスイコウモリは、鳥の血液だけを好むと考えられていた。鳥の血液は、高タンパク質な哺乳類の血液とは異なり、脂肪分に富んでいる。過去の実験では、ブタとヤギの血しか得られない環境にケアシチスイコウモリを置いたところ、ほとんどが絶食して餓死してしまったという。そのため、今回の研究を主導したペルナンブコ連邦大学のエンリコ・ベルナルド氏にとっても、この結果は大変な驚きだったようだ。

 今回、採取された検体の多くからはニワトリのDNAも検出されており、ケアシチスイコウモリたちが近隣地域の家禽を襲っていることも明らかになった。この地域では森林伐採や狩猟によって野生の鳥の個体数が減少している。従来からの獲物が少なくなり、生存のために新しい獲物を“試している”のではないかと見られている。現地では、公園の近隣に暮らす人々への調査が続いている。ケアシチスイコウモリたちが家屋のどこから侵入し、どのくらいの頻度で人間を襲っているのか探るためだ。


■狂犬病が蔓延する可能性も

 さて、そこで懸念されるのは、新たな吸血コウモリ出現による伝染病の拡大だ。吸血コウモリたちは夜行性であり、眠っている獲物にヴァンパイアのようにそっと忍び寄る。体表面の温度から、血管のある場所を見つけて、鋭い歯でわずかに傷をつけ、垂れてきた血を舐めて食事をするのだ。吸血コウモリによる傷口には痛みはないが、病原菌が感染する可能性がある。

 とりわけ警戒されているのは、狂犬病ウイルスへの感染であり、実際に現地では吸血コウモリによる狂犬病がしばしば発生している。昨年もペルーでは、先住民の子ども少なくとも12人が狂犬病を発症して死亡している。狂犬病は、発症すればほぼ100%の確率で死亡する恐ろしい感染症だ。現地に訪れる予定のある読者は、コウモリに十分注意してほしい。
(吉井いつき)


参考:「New Scientist」、「The Daily Mail」、「BioOne」、ほか

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