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会場内にずらりと並んだ他の入選作品も、社会性や動物に象徴される“今日性”に注目すると、また異なる印象で迫ってくる。老人介護や脱原発運動家たちのリアルをビデオとインスタレーションでみせる毒山凡太朗、日本的な風景を縮小模型に仕上げる鈴木伸吾、光学的な映像作品に挑むScott Allen、独自の陶器の副葬品をマーケットに見立てて陳列する福本歩、多数の写真を巨大なコラージュにつなぎあわせる山田弘幸、瓦に描かれた進駐軍の似顔絵を集めるユアサエボシ、祖母や従姉など母系の親族をモチーフとした人形を作る工藤千尋、看板風に複数の写実画を並べる後藤拓朗、世の中の矛盾や葛藤を精密な風刺画に描き込む因幡都頼など、技法はそれぞれだがあふれ出る創作への欲求が作品の大きさや迫力に直結しているところがTARO賞ならではのわかりやすさであり、凄みでもある。