89歳なのに25歳の脳を持つ人々の謎! 永遠に若い脳を持つ「スーパー老人」に研究者も困惑!
一般的に加齢とともに認知症のリスクは増大していくものだが、80歳を超える高齢者の中に「スーパー老人「Super Agers」」ともいうべき、永遠に若い脳を持つ人々が存在することが明らかになった。
■永遠に若い脳を持つ「スーパー老人」
その1人が89歳のドナルド・テンブランセル氏である。見た目は話し好きの普通のおじいちゃんだが、普段から読書、ボランティアに精を出し、時にはインターネットまで楽しむというエネルギッシュなご老人である。そんなテンブランセル氏の活力の源は食生活でも運動でもなく、若すぎる脳に隠されていた。英紙「Daily Mail」(4月4日付)が報じている。
米ノースウェスタン大学が医学ジャーナル「Journal of American Medical Association」に掲載した論文によると、テンブランセル氏をはじめ24人のスーパー老人の脳と通常の高齢者の脳を18カ月のスパンを空けてMRIで調べたところ、通常の高齢者では平均して脳の2.24%が萎縮していたのに対し、スーパー老人はわずか1.08%の萎縮しか見られなかったという。つまり脳の老化が通常の半分のスピードということだ。
2015年に同研究チームが行った研究では、スーパー老人は生まれつき脳の体積が大きく、萎縮スピードは通常の人と変わらないと予想されていたが、今回の研究により彼らの脳が萎縮に抵抗していることが明らかになった。
テンブランセル氏の脳は、なんと25歳のそれに見劣りしない若さを保っているという。萎縮が進行しない分、同年代よりも分厚い大脳皮質を保持しているため認知機能が衰えにくいため、記憶を失うことが少なく、認知症のリスクも極めて低いそうだ。
「通常、加齢には“典型的な”認知能力の低下、時には認知症のような深刻な症状が伴いますが、スーパー老人の存在は加齢による認知能力の低下が絶対ではないことを示しています」(米ノースウェスタン大学博士課程学生アマンダ・クック氏)
「我々の研究は、彼らの脳が萎縮する軌跡が通常と異なるかどうか調べることにありました。結果的に、スーパー老人の脳は通常の萎縮比率とは異なっていることが分かりました。また、彼らは平均寿命と健康寿命を両立させ、晩年に至るまで人生を楽しんでいることも明らかになりました」(同)
研究チームの今後の課題は、この現象を引き起こす生物学的な要素の特定と、高齢者の記憶維持、アルツハイマー病の予防への将来的な応用とのことだ。
現在、娘夫婦と3人の孫娘と暮らしているテンブランセル氏は冗談交じりに自身の生活を語っている。
「こういう生活に慣れなきゃいけないんだよ。孫たちはフランク・シナトラやフランクリン・ルーズベルトをあまりよく知らないから、いつもこう言ってやるのさ。『今週来るのはチャンス・ザ・ラッパー(米人気ヒップホップアーティスト)かの、テイラー・スウィフトかの?』ってね」(テンブランセル氏)
常に新しい事に興味を持ち続けることが若さの秘訣といったところだろうか。
(編集部)
参考:「The JAMA Network」
、「Daily Mail」、「Express」、ほか
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