「4年以内に脳にコンピュータを埋める。他者の概念が直接ダウンロードでき、“テレパシー”が新言語になる」イーロン・マスクが断言!

■進化する人工知能(AI)への対抗措置でもある?

 それにしても、この共感性テレパシーを可能にする脳へのチップ埋め込みを今後4年以内に実現させるとは、なかなか強気の発言だと思うがいかがだろう。

 その豪語の根拠になっているのは、昨年7月にマスク氏が私財を投じてカリフォルニアに創設したグループ会社「Neuralink(ニューラリンク)」の存在だ。

 まさにこのNeuralinkが、脳に神経ひもを接続してアクセスする技術を鋭意開発している真っ最中なのだが、意外なことにIT企業ではなく、医療研究企業として登録された会社である。したがって神経ひも技術のそもそもの開発意図は医療目的であり、脳挫傷や脳梗塞、脳腫瘍などによる脳機能低下の回復を図る治療法開発のための研究である。また、各種の知覚障害の方々のコミュニケーションを手助けするものにもなるだろう。

 そしてもちろん、4年以内に実現するというチップの埋め込みと神経ひもへの接続も、医療研究における治験として実施されることになる。だがその一方で実はこの研究の背後にはマスク氏の将来への重要な対策が潜んでいるのだった。それは今後ますます進化が加速する人工知能(AI)への対抗措置である。

 以前からマスク氏は進化を遂げる人工知能の脅威に警告を発しているが、近い将来に技術的特異点“シンギュラリティ”を遂げた人工知能に人類が“支配”されてしまわないためにも、人間の知的能力を飛躍的に高める可能性を秘めたこの神経ひも技術は今後、必要不可欠とされてくるということだ。

 最初の“治験”は4年以内ということになるが、今後8~10年で望む者は誰でもこの極めて小さいチップを脳に埋め込んで神経ひもによって“接続”された状態になれるという。今日の多くの人がスマホを手放せないように、一度“接続”された体験を味わえばまずもって元に戻ることはできなくなるということだ。そして進化した“神のような”人工知能は必ずしも人類の敵ということではなく、共に栄える“共生関係”を結んで新たな文明が開けてくるということである。

 なんとも壮大なSFめいた話になるが、その第一歩はこの4年以内に達成するということのだから目を離すわけにはいかない。
(文=仲田しんじ)

参考:「Daily Mail」ほか

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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