火蟻毒の90%はコショウに含まれる辛み成分「ピペリジン化合物」だった! 刺されると●●したような激痛が!?
■ヒアリの毒
ヒアリの毒は天然物なので、基本的にはいろいろなモノの混合物です。ただヒアリの毒の9割近くは「ピペリジンアルカロイド」という特徴があります。
ピペリジンと見知らぬ言葉がくると理解を拒否したくなる気持ちも分かりますが、実はピペリジン化合物は非常に身近なところにあります。それが「ピペリン」です。聞いたことも無い? 黒こしょうの辛み成分といえば分かりやすいでしょうか。
コショウの辛み成分として知られるピペリンは、単体でも非常に強い辛さ刺激を持ちます。さらに同じ辛み成分であるトウガラシのカプサイシンの作用を増強することも知られており、防犯用の催涙スプレーなどの中には「ペッパースプレー」などとコショウの名を打ったものもあるくらいです。
このピペリジンアルカロイドは感覚神経にあるイオンチャネル(TRPV1)(カプサイシン受容体)と反応します。実際に熱は発生していないのに熱感を持つわけです。濃度が高いと火傷のような痛みと焦熱感を与えるために、体の免疫反応として火もないのに火傷したような痛みが生じます。
さらに痛みを与える成分以外に、様々なペプチド様の発痛物質、多数のタンパク質がヒアリの毒には含まれており、1匹だけでは痛い程度でも、それが群れになって襲ってくる、わりとホラーな生き物といえます。
日本にヒアリが定着する可能性は高いとは言えませんが、それ以前に定着している地域や、それに類する攻撃的なアリがいる地域へ旅行される際は、是非ともそうした「刺す虫」の情報は事前に調べておくといいかもしれません。
【これまでの猛毒一覧】
・ 青酸カリ「前編」「後編」
・ リシン「前編」「後編」
・ クロロホルム「前編」「後編」
・ 一酸化炭素「前編」「後編」
・ 覚せい剤「前編」「中編」「後編」
・ トリカブト「前編」「後編」
・ タリウム「前編」「後編」
・ ドクウツギ「前編」「後編」
・ ヘロイン「前編」「後編」
・ フグ毒「前編」「後編」
・ 毒キノコ
・テタヌストキシン「前編」「後編」
・大麻「前編」「中編」「後編」
・ドウモイ酸
・ヒ素「前編」「後編」
・「ドクササコ」
・「ライチ」
・「暗殺に使われる毒の色々VX、リシン、ボツリヌスetc」
・VXガス・サリン「前編」、「後編」
・ゾンビ化ドラッグ「前編」
・溶かす毒「前編」「後編」
・MDMA「前編」「後編」
・火蟻
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