スキンヘッドで眉なしメタボ女がトップレスで座禅!? マッドサイエンティストたちが人体実験を繰り返す怪作!

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 事務所で経費の精算をしていたキクは飯沼の絶叫を耳にし、センター内を歩き回り生体実験を目撃する。そこへ「見たな~」とビキニパンツ一丁に白衣を羽織った本宮が襲い掛かりレイプ。「大企業の秘書から玉の輿に乗りフランス暮らし」という華麗な未来を目前にしていたキクは、マッドなナルシスト野郎に凌辱され、気付いたらワケのわからない機械にセットされていた。キクもまたノイズ音楽を大音量で聴かされ、その絶叫に反応した飯沼のラバー・ユニットが遂に起動。強烈なサイキックの波動が周囲を襲い、その場にいた全員が感応して苦しみ出す。

 手足が細長い川瀬のスーツアクターっぷりがいい感じで、例えるなら黒いウェットスーツを着た『ウルトラQ』のケムール人を演じた古谷敏(のちウルトラマンのスーツアクター)に通ずるスタイリッシュさだ。黒いラバーのピチッとした感じは色気を要し、アメリカンのゴリマッチョより痩身の方が確実にマッチする。頭部のマシンヘッドの部品が回転しているのもよい。こういった機械と生体の融合は塚本晋也監督の『鉄男』を連想するが、実は福居監督は『鉄男II』(92年)で撮影スタッフとして参加していた。

 ラバー・スーツを脱いで放心状態の飯沼の目前に、スキンヘッドで眉なしメタボ女がトップレスで座禅を組んでいる(怖すぎ)。ここから後は現実と幻覚が入り乱れたトリップ映像の連続。後半は登場人物が延々と絶叫しているし。実験台に固定された本宮は両手だけ残して消滅し、一ツ橋は半狂乱で何かを言っているのだがその台詞はほとんど聞き取れない。そこへ全裸のキクが現れ、飯沼の声を発する。もう何が何だかわからないが、飯沼とキクはラバー・ユニットを持ち出して姿をくらます……。

 センターに使用した建物は、1991年に池内美術が東京都大田区大森にある倉庫を改造したレントゲン藝術研究所。バブル崩壊後に、日本の現代美術の黎明期を担った作品発表のギャラリーだ。今や世界的なオタクカルチャーのアイコン・村上隆や、社会通念に挑戦的なロリ画などで物議を醸した会田誠らが個展を開き、新人や若手の登竜門と言われた。

 マッド・サイエンティストの一ツ橋に扮した飴屋法水は、17歳で唐十郎の紅テント(状況劇場)に入り、1980年代に東京グランギニョルを旗揚げして前衛的な演劇を発表。1990年代に入ると現代美術へと活動の場を移し、延命治療中の昭和天皇を想起させるロボット、HIV感染者の血液の展示などのデンジャラスな創作を行う。一方では、東中野で「動物堂」という珍しい動物ばかりを扱う名物ペットショップを営む(現在閉店)。筆者もたまに店へ行き、フクロウ、フルーツバット、爬虫類などを冷やかしで眺めていたものだ。そこではいつもイケメンの飴屋オーナーが、不思議なオーラを放っていた。

 作品は1996年のロッテルダム国際映画祭に出品され、上映後は会場内に賛否が渦巻いたという。ソフトに関しては、『ピノキオ√964』が近年DVD化されたのに対し、『RUBBER’S LOVER』はアメリカとカナダで「ジャパニーズ・サイバーパンク・コレクション」シリーズとしてDVD商品化されているのにもかかわらず、なぜか国内盤は未発売だ。

■天野ミチヒロ
1960年東京出身。UMA(未確認生物)研究家。キングギドラやガラモンなどをこよなく愛す昭和怪獣マニア。趣味は、怪獣フィギュアと絶滅映像作品の収集。総合格闘技道場「ファイト ネス」所属。著書に『放送禁止映像大全』(文春文庫)、『未確認生物学!』(メディアファクトリー)、『本当にいる世界の未知生物 (UMA)案内』(笠倉出版)など。新刊に、『蘇る封印映像』(宝島社)がある。
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