バンド活動、子育て、障がい者介助…すべて全力の家族を追った映画『MOTHER FUCKER』が最高にブチ上がって泣けて笑える!(監督・大石規湖×谷ぐち順対談)
■1円にもならないけど、まだ撮ってる
――ちょっと話が戻りますけど、お母様が倒れられたとき、大石さんは『MOTHER FUCKER』という映画を作っていたわけですよね。
大石 そうなんですよ(笑)。母のリハビリ中に「8月に公開するから、それまでに退院して東京まで来られるようにがんばろうね」って言ってたんです。それを母は理学療法士さんに話していたので、ある日お見舞いに行ったとき、その理学療法士さんから「娘の映画が公開されるって、お母さん喜んでましたよ。なんていうタイトルですか?」って聞かれて。
――なかなか答えづらいですね。
大石 自分の「MOTHER」が大変なときに。実際、「ええと、日本のインディーズシーンのドキュメンタリーで……」ってお茶を濁しちゃって。でも母が退院するときに、最高な人たちを撮った映画だし、理学療法士さんてそれこそ介助の仕事と無関係ではないじゃないですか。だから観てもらいたいとも思って「『MOTHER FUCKER』です」って言ったら、意外と普通に「面白いタイトルですね」って。
――よかった。
大石 こういうのを笑い話にできるのも、レスザンだからだと思うんですよ。今のところ、母は公開初日に車椅子で来てくれる予定で、それを谷さんにメールしたら「介助するイメージはできてます」って返事をくれて。
――かっこいい。
大石 そう。かっこいいし、相変わらず谷ぐち家では事件が起こり続けてるので、まだ毎週撮影してますもん。1円にもならないのに(笑)。
――罪な家族ですね(笑)。
大石 もし2017年に『MOTHER FUCKER』を作ったら、まったく違う話になるくらい、常に前進してる家族なので。実は私、この映画を撮り始めたとき、完成したらもう映像の仕事は辞めるつもりだったんです。それこそ憧れの、学生時代から好きだったレーベルだし、この人たちを撮りきれれば思い残すことはないだろうって。
でも、谷さんやYUKARIさんたちがやりたいことを続けてるのを見てたら、「続けること」のすごさを思い知ったというか、辞めるのは楽なんだなって。だから「絶対に続けてやろう」と思ったし、結局この家族が私を監督にしてくれたから、続けることで何か恩返しができるかもしれない。本人の前では言えないですけどね。
(取材・文=須藤輝/@s_hikaru)
■『MOTHER FUCKER』
●公式ホームページ http://mf-p.net/
9/8(金)まで渋谷HUMAXシネマにて
9/9(土)~9/15(金)|シネマート心斎橋
9/16(土)~9/22(金)|シネマート新宿
9/23(土)~9/29(金)|名古屋シネマテーク
9/30(土)~10/6(金)|広島・横川シネマ
10/14(土)~10/20(金)|横浜シネマ・ジャック&ベティ
10/21(土)~10/27(金)|仙台・桜井薬局セントラルホール
10/28(土)~11/3(金)|京都みなみ会館
以降 神戸・元町映画館 他 全国順次Fuckin’公開中!
■大石規湖
フリーランスとして、SPACE SHOWER TV や VICE japan、MTV などの音楽番組に携わる。また、トクマルシューゴ、 DEERHOOF、BiS階段、奇妙礼太郎など国内外問わず数多くのアーティストのライブ DVD やミュージックビデオを制作し、女性でありながら男勝りのカメラワークで音楽に関わる作品を作り続けている。映画『kocorono』(2010年・川口潤監督)では監督補助を担当。また谷ぐち順の初MVの監督も務めている。
■谷ぐち順
Less Than TVの代表ではない何か。介助者。一応、フォークシンガー。
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