石川竜一写真集『okinawan portraits 2012-2016』
■知ってしまったら逃げられない
石川さんは生まれ育った沖縄を撮り続けている写真家だ。とはいえ、沖縄を撮ってきた理由は自身にとって身近な場所であったということだけで、それ以上の理由はないと言い続けてきた。そんな石川さんだが、昨年あたりから、沖縄をめぐる政治的な問題に関わる情報をSNSでシェアする様子を目にするようになった。具体的な発言こそないものの、何か心境の変化があったのだろうか?
「社会と関わるなかで自分の意思表示をする必要が出てきた。というか、避けられないと思ったんです。知って関わったなら、そこに自分の意思を示さないといけないというのがあるから」
しかし、それは沖縄出身の表現者としての責任からではないという。
「僕自身、気になったら様子を見に行くくらいで運動そのものはしていない。でも、知っている人が運動に関わっていたりするなかで『こういうことには同意できる』とか『こういうことは疑問に思う』とか、考えたことは表すべきだと思っているんです。たとえば、7月から新たなヘリパッドの運用が始まった沖縄・高江のことは衝撃的で、僕が仕事で北海道に行っていた2カ月の間に一気に動いてしまった。それまでも自分の近くにあったのに無視していたというか、何もしてこなかったことを後悔しました。だから、少しでも自分ができることをやっていこうって」