“90年代の新宿”を描いた映画が残酷すぎて中国で上映中止に! どれくらいヤバイか徹底解説!
■あらすじ
1990年代初頭、大勢の中国人密入国者が若狭湾に漂着し、その中にいた鉄頭(ジャッキー・チェン)は、日本に稼ぎに出たまま消息を絶った幼馴染みの恋人シュシュを探して東京にたどり着く。鉄頭は大久保で弟分のアージェと再会し、不法滞在中国人たちが身を寄せ合って暮らす貸家に潜伏し、廃棄物処理や下水道清掃などの低賃金労働で生計を立てる。
ある日、新宿歌舞伎町のクラブで皿洗いをしていると、縄張りを仕切る暴力団・三和会の幹部・江口(加藤雅也)の極妻になっていたシュシュと哀しい再会を果たす。失意の鉄頭は仲間らと偽造テレカを手売りし、偽造カードで購入した物品の転売、パチンコのイカサマなどをして歌舞伎町で悪事を重ねていく。やがて人情味のある北野刑事(竹中直人)と知り合い、リリーという恋人ができる。そして臆病者で悪事が苦手なアージェのために、鉄頭は仲間たちと金を出し合い、彼が夢見ていた天津甘栗の屋台をプレゼントする。
だが、それはつかの間の平和だった。アージェに連続して災難が襲う。まず仲良くしていた中国人女子高生のパパ(クラブのオーナー)の逆鱗に触れ、店に連れ込まれてボコボコにされる。殴る蹴るしている従業員は、原田眞人監督の最新作『関ケ原』で西軍の前野兵庫、平成版『ウルトラセブン』でセブンのスーツアクターを演じた北岡龍貴!
次が悲惨。屋台を引いていたアージェだが、仲間から「トイレ行くからちょっと代わって」とイカサマ中のパチンコ台に座ってくれと頼まれる。そこへ運悪く仕切りの台湾ヤクザが登場。アージェはションベン漏らしながら路地裏へ連れ込まれ、刃物で顔面の中央を鼻ごと真横に切り裂かれ、右手を焼けた甘栗の釜の中へ突っ込まれた上、切断される。
鉄頭はアージェの仇を討つため、台湾ヤクザがいるクラブに潜伏して機をうかがうが、事態は意外な方向へ。店内に三和会の身内が来て、台湾ヤクザの幹部に江口暗殺を依頼して帰る。そこへ江口が来店し、台湾ヤクザたちに斬りかかられる。床に倒れ込み、テーブルの陰に潜んでいた鉄頭と目が合い驚く江口。幹部が肉斬り包丁を振り上げ、それを下した瞬間、鉄頭がカウンターで刃物をスイング。「スパッ!」と、気持ちイイほど鮮やかな切断面を見せる幹部の前腕がすっ飛んでいく。
江口は鉄頭を気に入り、女房の元カレと知りながら懐刀に置く。鉄頭は自分と仲間の長期滞在証明書の発行を交換条件に、江口の政敵を次々に殺していく。カンフーではなく銃や刃物で。鉄頭が顔役となったことで仲間たちは大手を振って歌舞伎町で商売できるようになるが、一方アージェは義手をはめ、白塗り顔という奇抜な格好をし始め、麻薬の売人となって荒んでいく。アージェの顔の傷を見て「それ、イカシテルな」と言ってブン殴られる斎藤工(笑)も一瞬出たりして、ここから先は各自が軌道を外し、鉄頭も仲間たちから孤立する。
ラストは登場人物らが入り乱れて大乱闘。ジャッキーも戦うが、アクションとはいえず泥臭いリアルなケンカ。死闘の果てに「俺は臆病者のままだ」といって、鉄頭の目の前で息を引き取るアージェ。腹の傷口からドロリとはみ出てる内臓。鉄頭も縄張りを取られて恨みを持つ反中国人派の中島(澤田拳也)たちに斬り刻まれ、ボロボロになって下水道に逃げ込むが、北野の目前で力尽き、汚水にまみれて流されていく。
この映画は日本では5月1日に封切られたが、とてもゴールデン・ウィークに観る映画じゃない(笑)。しかし、さすがトンシン監督が10年かけてリサーチして練っただけあって、外国人の描く変な日本観はない。私は未成年時から歌舞伎町に出入りし、1990年代は無修正AVが入手できるビデオ・DVD店、ルーズソックスをはいたJKに蹴られてダウンする酔っ払いのリーマンオヤジ、改造テレカの売買、激増する中国人などを見てきたが、映画で描写される街にリアリティーを感じた。そして、この映画はとても切ない。ジャッキーの新境地を、あなたならどう感じるだろうか。
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