“90年代の新宿”を描いた映画が残酷すぎて中国で上映中止に! どれくらいヤバイか徹底解説!

――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・天野ミチヒロが、ツッコミどころ満載の封印映画をメッタ斬り!

90年代の新宿を描いた映画が残酷すぎて中国で上映中止に! どれくらいヤバイか徹底解説!の画像1※イメージ画像:『新宿インシデント』

『新宿インシデント』
2009年・香港
監督/イー・トンシン
出演/ジャッキー・チェン、加藤雅也、竹中直人ほか

 時折舞い込む「何々が中国で上映中止」といったニュース。それらは当局の検閲にかかった国外の映画ばかりなのだが、中国映画界の巨匠イー・トンシンが撮ったジャッキー・チェン主演『新宿シンシデント』が、中国で上映中止になっていた。その理由は何だったのだろう。まず、ここ数年の中国における主な上映中止作品を挙げてみよう。

『SAYURI』(05年・米)……アメリカ人の感性で芸者(チャン・ツィイー)の人生を描いたが、芸者を娼婦と曲解した広播電影電視総局が「中国人女優が芸者を演じている事が、従軍慰安婦問題を思い起こさせる」として公開を中止した。

『ブローバック・マウンテン』(05年・米)……『グリーン・ディスティニー』のアン・リー監督作品。保守的なアメリカ西部を舞台に20年以上にもわたる男性同士の愛を描いた人間ドラマ。同性愛が中止の理由か。

『アバター』(10年・米)……3D版とアイマックス版は中国史上最高の初日売上を樹立したが、2010年1月22日から公開予定の通常版が中止に。メディアを統制する国家新聞出版広電総局は国の指示ではないと否定したが、資源を狙う地球人が先住民を追い払うシーンが、当時中国各地で起きていた強制立ち退き騒動を想起させるからというのが、中国人民の共通認識。

 香港を除く中国では、日本の映倫やMPAA(アメリカ映画協会)などによるレイティング(年齢制限)システムが存在しない。中国での映画公開の審査基準は、国内の経済的利益や映画産業の発展に重点を置いているので、上記例のような政府が禁止する要素さえなければ、小学生でもスプラッターやセックスシーンを観ることができた。そこで最近の中国映画業界は、子供の教育上よろしくないもので利益を追求することはやめようと、劇場が各自で内容に照らし合わせて年齢制限を設け始めているのだ。

 ちなみに香港に限りレイティングが導入されているが、『新宿インシデント』は最も厳しいIII(18歳未満お断り)に指定された。これは「残酷もエッチもあり」ということだ。そして中国政府は香港以外での上映は許可しなかった。その理由は過激なバイオレンス描写にあるといわれている。日本でも、ジャッキー・チェン主演映画史上初のR-15(15歳未満お断り)という事態になった。あのジャッキーが詐欺を働くわ、人を惨殺するわ、娼婦を買うわ、おまけにカンフーを一切使わないというイメージを根底から引っくり返した意欲作。どこがそんなにヤバイのか、該当箇所を示すためネタバレ注意でストーリーを紹介しよう。

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