人間にも伝染する「人工プリオン」が開発される! 脳がスポンジになって死ぬ…狂牛病の恐怖再び!?
■人間のプリオン合成に成功
以前にもげっ歯類のプリオンを実験室で合成する手法は存在しており、マウスを使ったプリオン病の研究が行われてきたという。プリオンタンパク質は種が違っていてもよく似ているため、羊から牛、牛から人間のように、異常プリオンが種の壁を超えてプリオン病を引き起こす可能性がある。しかし、げっ歯類のプリオンはヒト化マウスに感染しないなど、人間のプリオンと同様に考えるのは難しいという。
だが先日、米ケース・ウェスタンリザーブ大学医学部のジリ・サファー氏らが人間のプリオンの人工合成に世界で初めて成功したという。今月4日付で学術誌「Nature Communications」に論文が発表された。
発表によると、サファー氏らが開発したのは大腸菌を使って人間のプリオンを合成する手法だ。このプリオンを人間のプリオンを発現させる遺伝子組換えマウスに与えたところ、神経の機能障害を起こしたという。つまり、この人工プリオンは人間に対する感染性と病原性を持っているのだ。
サファー氏は今回の成果について「我々の発見は新しい人間のプリオンの発生について構造的なレベルで説明するものであり、間違って折りたたまれたタンパク質の構造と修飾の見かけ上のちょっとした違いが、人間の脳内で、どのように伝達され、細胞を標的にし、発現するのかを理解するための基礎を提供するものです」とプレスリリースの中で説明している。
実際、サファー氏は人間のプリオンについて、すでに新たな発見をしたことも報告している。この人工プリオンを使った実験の中で、細胞内のガングリオシドGM1という分子がプリオン病の伝染や複製に関わっていることを新たに発見したのだ。さらに、間違って折りたたまれたタンパク質そのものが重度のプリオン病の原因ではなく、プリオンを構成するアミノ酸の構造が複製の速さや感染性、脳のどこを標的にするかを決定していることも明らかとなった。
かつて世界中を大パニックに陥れたプリオンを人工合成したと言われると、一見とても恐ろしげな話に聞こえる。だが実は、今回の研究によってクロイツフェルト=ヤコブ病など、プリオン病の薬や治療法の開発に新たな道が生まれたのである。不治の病が克服される日が一日も早く訪れることを祈ってやまない。
(編集部)
参考:「Science Alert」「Case Western Reserve University」「Nature Communications」ほか
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