“伝説のゴッドファーザー”末裔に取材!大物マリオ・ルチアーノ「ちゃんと学校に行けばよかった、もっと勉強をすればよかった」
――日本でもさまざまな裏社会の重鎮たちと、偶然に近い形で出会いますよね。
マリオ 日本のヤクザの偉い人たちはたいてい、初対面の私に対して気軽に声をかけてきました。外国人だし、スーツはスーツでもビジネスマンっぽくないカジュアルスーツでいることが多かったから、何者だろう? という好奇心をそそられたのかもしれないし、もしかしたら“同じ匂い”を嗅ぎ取ったのかもしれません。「国はどこ?」って感じで声をかけられ、そこから親しくなることが多かったですね。
――学校には通わず、9歳でファミリーのビジネスに手を染め、10歳で香水を覚え、12歳で車の運転を開始した、との記述があります。何事もデビューが早いですね。
マリオ はい。服装に関しても、14歳の頃からずっと、外出時は必ずスーツです。それは今でも変わりません。ちょっとそのへんに出かけるのもスーツ。ジャージやショートパンツになるのは家の中だけです。そういえば3日前、彼女(日本で同棲中の日本人女性)に笑われました。私は腎臓が悪いので、家では足を上げたまま寝そべっていることが多いんですが、パジャマを着て、足を上げて、キットカットを食べていたら、彼女がこう言って笑いました。「外ではスーツしか着なくて雰囲気も怖いあなただけど、今は普通の人みたい。この優しそうな姿をみんなに見せたいわ」と。そう、私も家の中ではただオッサンよ(笑)。ジョン・ゴッティ(アメリカのマフィア組織・ガンビーノ一家のボス)もきっと、そうだったんじゃないでしょうか。家ではリラックスして、外ではビシッと決めるというね。
――ちなみに今日のファッションは?
マリオ スーツはアルマーニ。時計はパテック・フィリップ。香水はゼニア。指輪はホワイトゴールドです。
――マリオさんがこの格好で夜の街に繰り出したら、確かに目立ちますね。
マリオ 私は基本的に、夜遊びをまったくしないんですよ。お酒も飲まないし、タバコも吸わない。ただ、この本を出してから、たくさんの有名な方々が私と会いたい、話したい、と言って、都内にある私のレストランに食べに来てくれていますよ。みんな、ゴッドファーザーの世界に興味があるのかもしれませんね。
――マフィアの世界に対して憧れを抱いている日本人は多いと思います。
マリオ みんな表しか見ていないから、そう思うんです。中身はほとんどボロボロですよ。脳は疲れています。心も死んでいます。言葉も出ません。会う人会う人から「何々組の誰々さんと会ったことはありますか? 実際はどんな人ですか?」そんな質問ばかりをされるから、正直ウンザリしていますし、答える気も起きないですね。
――今日はまさに、そんな質問ばかりをしようと思っていました……。
マリオ 私はたまたま近くにいたから、裏社会の偉い人たちと会えただけです。一般の人にそのチャンスがないのは当たり前。生き方が違いますから。私はゼロからこの世界にいたから、たまたま会えただけ。でもそれも自慢にはならない。私は生き方を間違えたと思っています。ちゃんと学校に行けばよかった、もっと勉強をすればよかった、と後悔しています。
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