北朝鮮ミサイルはまた日本に飛んでくる! 何も決まらず、単なるトランプの選挙対策だった会談を分析!

――軍事研究家・塩原逸郎が緊急寄稿!

北朝鮮ミサイルはまた日本に飛んでくる! 何も決まらず、単なるトランプの選挙対策だった会談を分析!の画像1画像は「The Guardian」より引用

 世界中の注目を集めた初の米朝首脳会談が終わった。しかし、その成果は非常に乏しい、何も決まっていないに等しいものであったと筆者は見る。それは、トランプと金正恩が署名した共同合意文書から読み解く事が可能だ。

 まず、核問題に関しては、共同合意文書には米国を含めた周辺国が求めていた核問題の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」が盛り込まれていない。単に、4月27日の南北首脳会談で合意された板門店宣言を再確認し、朝鮮半島の完全な非核化に向けた努力をする旨が記されているだけだ。今までと何も変わっていないに等しい内容である。

 弾道ミサイルや拉致問題といった日本にとり重要な案件は、そもそも合意文書内で言及がなされていない。唯一注目すべきは、朝鮮戦争時の米将兵の遺骨の発掘調査に北朝鮮側が応じている点だ。北朝鮮側は今後、これを外交カードの1つとし対米交渉を行っていくと見られる。

 首脳会談終了後のトランプの記者会見を見るに、両者の会談では弾道ミサイルや拉致問題といった共同合意文書には盛り込まれていない事項も一応議題には上がったようであるが、金正恩から明確な返答は無かったものと見られる。核のみならず、弾道ミサイルや拉致問題に関してもやはり、今までと何も変わっていないに等しいという評価を下さざるを得ない。米韓合同軍事演習の中止や在韓米軍の縮小、撤退に関する発言もあったが、やはりこれも将来的なものだ。

 この何も決まらなかった米朝首脳会談で、トランプと金正恩は何を得たのであろうか?

 トランプ側は、ただ単に「米朝首脳会談を行った」という外交的な成果を得ることとなった。これは、秋に予定される米議会中間選挙において、共和党側に追い風となる事となろう。この会談は、トランプの選挙対策という意味合いが非常に大きいものであったのだ。

 他方、金正恩側は「交渉が継続する限り米国から体制保証を受ける」という成果を獲得する事となった。要は、北朝鮮側は時間稼ぎに成功したのである。では、この首脳会談は日本にどのような影響を与えるだろうか? 何も決まらず、かつ北朝鮮側が時間稼ぎに成功した事そのものが、日本にとり重大な問題である。これはすなわち、北朝鮮の核・弾道ミサイルの脅威が存続する事を意味するからだ。融和ムードに乗じ、北朝鮮が核・ミサイル戦力の更なる増強を行う可能性も十分に考えられる。
(文=塩原逸郎)

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