猫、ネズミ、金魚、ハエ、蚊には世界はこう見えている! 人間以外の視界はこんな感じだった!
科学者らが綿密に計画を立てたというひとつの興味深いプロジェクトがある。それはなんとざっと600種類にもわたる生物の視力、つまりそれぞれの目に世界がどう映るかを明らかにしていくというものだ――。
■人間の網膜の空間周波数はおよそ60c/d
視力に関し、人間は必ずしも生物の中で最も優れているわけではないが、猫よりはおよそ7倍、ねずみや金魚よりは12倍程度はっきり目が見え、蚊と比較した場合は何百倍も正確に目で捉えることができると判明しているという。生き物の種類やシチュエーションにより、目に見えるものがかなり異なるというから面白い。
専門誌「Trends in Ecology&Evolution」に発表された今回の研究では、それぞれの種の目を解剖したデータから視力と視界のクリアさを推定している。その結果、人間と比較するとほとんどの種は視力が人間よりも弱く、視界が限られているという事実がわかったのである。
物体が網膜において結ぶ像の大きさを視角によって表現した画像中の空間周波数(視覚1度あたりの周期=c/d)を計測すると、人間はおよそ60c/dであったのに対し、はるか空の上から地上にいる獲物を狙うワシやタカなどの猛禽類は140c/dというのは納得だ。
一方、猛禽類以外の他の鳥類や魚は30c/dであり、水中で鋭敏な動きを見せる魚でも実は視界に制限があるという結果になった。
発表に用いられた参考用の画像やイラスト図は、各生物の視界がどうなっているのか、また人間やその他生物の視力が比較されており、まさに一目瞭然である。
アクティビティビューと呼ばれるプログラムを使用したデジタル画像を用いて、生物の視力別に空間周波数を切り取ってイメージが設計されているという。
■視覚情報を脳がどう処理しているかはまだ不明
図からは、人間の視力基準では盲目と判定されてしまう範囲に8割方の生物の視力が当てはまっていること、特に昆虫類は10分の1以下の視力しかないことが見てとれる。
視界が曖昧な昆虫たちにとって、体の色や模様はしばしば生存に直結する場合があり、例えば蝶については、その羽の模様によって外敵(捕食者)を威嚇し、身を守るのに役立つと考えられているのだ。
昆虫はさらに「複眼」と呼ばれる目の構造(個眼と呼ばれる細かなレンズの集合体)を持つことで、紫外線を見るといった人間にはない能力や、一定の方向に直進する光の波長「偏光」を見る能力があることで、光をコンパス代わりにすることでき、弱い視力をカバーしているという。
もっとも、現時点では全てが解明されたわけではない。今回は推定視力を示しているだけで、「視界にとらえた情報を脳がどう処理しているか、他の要因がどう作用するのかについてはまだわかっていない」と研究者らはさらなる研究に意欲的だという。今後の成果を期待したい。
参考:「Daily Mail」ほか
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2024.10.02 20:00心霊猫、ネズミ、金魚、ハエ、蚊には世界はこう見えている! 人間以外の視界はこんな感じだった!のページです。目、視界、視覚、Maria Rosa.S、視力、網膜などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで