《かまど神、東和町》〈東北の民間信仰〉より 1968 年
ゼラチン・シルバー・プリント
後年、撮影時を振り返り、内藤さんは東北文化の根底に流れる死と生の関係性について、このように述べている。
「東北の文化は、大地から湧き出たよう力強いエネルギーが躍動していて圧倒される。これは、恐山や久渡寺などの縁日に集まるお婆さんたちにも感じることだ。お婆さんたちは、死者を供養し、イタコの口寄せで死者の声を聞き、さんざん泣きあかした後、にぎやかに踊りあかす。お婆さんたちの底抜けの明るさは、死を通して得ることのできた明るさといってよいだろう」(『日本発見 岡本太郎と戦後写真』展図録、川崎市岡本太郎美術館、2001年)
《死者供養をする老婆、恐山》〈婆バクハツ!〉より 1969年 ゼラチン・シルバー・プリント
「東北の根底にあるのは、死から生の輝きを逆照射する思想なのではないだろうか。生から死は視えないが、死からは生の本質がよく視える」(『日本発見 岡本太郎と戦後写真』展図録、川崎市岡本太郎美術館、2001年)
以降、内藤さんは東北に足しげく通い、写真を撮りながら、東北の民間信仰をリサーチし続けることになる。