「人殺しと樹海に行ってみた…」「孤独死する人はだいたいゴミ屋敷」村田らむ氏が“死とゴミ”を語る!
■殺人者に共通する特徴 目がおかしい
――殺人者の特徴って何かありますか?
村田 人殺しをした人は、目がおかしくなりますね。紗が掛かるというか、目にすごく特徴が出るんです。モザイクがかかっているという表現では大げさかもしれませんが、目の部分がぼやけて影があるように見える人が多かったです。なので、そのようなたぐいの目をしている人に会うと、「人殺しをしたことあるのかな?」と思うことがありますよね。
きっと、人を殺したことで何かが変わるんだと思います。故意ではなく結果的に人を殺してしまった人もそうなのかはわかりませんが、意図的に人を殺したら、何か変わりますよね。人殺しって、命の価値をなくす作業じゃないですか。だから結果として自分の命の価値もなくなると思うんですよね。その変化は大きいと思います。
■樹海の散策から孤独死へ
――ここまで、樹海のことについていろいろ語っていただきましたが、今後、追いかけていきたいテーマとかありますか?
村田 樹海の自殺死体に限らず、死についてはもっと探求したいと思っています。中でも今は「孤独死」を追いかけていますね。事故物件の情報提供サイトを運営する大島てるさんや、事故物件住みます芸人の松原タニシさんとかと仕事をすることが多くて、孤独死による事故物件などに触れる機会も多いんです。
――死をテーマに追い続けるということなんですね。
村田 死をテーマにしたものは、ちょっと感傷的なものが多いと感じます。僕としては、「死んじゃってもいいじゃない。自殺してもいいじゃない。孤独死してもいいじゃない」というスタンスなんです。もうちょっと肩の力を抜いた感じで死のことを書きたいと思っています。
――死を否定せずに肯定するという方向なんでしょうね。
村田 肯定までいかなくても「事実はこういうものだ」と示したいです。あとは、孤独死以外にゴミ屋敷もかなり長い期間追い続けています。
■ゴミ屋敷の住人になる理由
――ゴミ屋敷に住む人の心理とはどんなものなのでしょう。
村田 いろいろありますけれど、病気の人も多いですね。能力的に片付けができないんです。
――寂しいからゴミを集めるという人もいます。
村田 それはご病気ですよね。老人性の認知症の症状の場合もあります。
――片付けられないのは、先天的なものなのでしょうか? それとも、後天的なものなのでしょうか?
村田 老人性のものは、後天的ですね。年を取ってから認知症になって、片付けられなくなっていきます。若い人でいえば、大学生でゴミ屋敷になるケースがあります。大学に上がるまで勉強ばっかりしているような子が多いですよね。大学に受かって田舎から上京して、急に1人暮らしを始めるんです。それでゴミ出ししたら、大家さんとかに「分別が悪い」とか怒られたりすると、ゴミ捨てが怖くなってできなくなる。それで、ゴミが部屋の中にどんどん溜まっちゃうんです。
――でも、その地域のゴミの分別方法に従って捨てればいいだけのようにも感じますが。
村田 分かっていてもゴミ捨てをできない人はいるんですよね。分別が楽な地域やマンションに住んだほうがゴミ屋敷にはなりづらいですよ。
――それ以外に、ゴミ屋敷になる要素ってあるんでしょうか?
村田 職業で言えば、ナースにすごく多いですね。私がみた限りですが、ナースは多忙なので生活がめちゃくちゃになってゴミ屋敷になりやすいです。24時間体制の病院に働いているナースとかは、心身共にバランスを崩している人が多かったりします。大変ですよね。
■孤独死する人の大半がゴミ屋敷
――では今、村田さんが追いかけているのは、樹海、ゴミ屋敷、孤独死ということですね。
村田 ゴミ屋敷の清掃の取材をしていたら、孤独死の現場の取材に繋がりましたね。その後に、吠夢さんという漫画家さんが孤独死して、それをTOCANAに記事として書きましたけれど。
(吠夢さんの記事はこちら:ゴミ屋敷で孤独死した漫画家が残した遺作『生ポのポエムさん』が訴えた生々しいフリーランスの現実)
――孤独死する人はだいたいゴミ屋敷だというパターンがあると聞いたのですが。
村田 そうなるのはわかりますよ。孤独死する人は1人暮らしで心身共に死んじゃうぐらいの悲惨な状態になるわけですから。死ぬ間際は部屋をちゃんと片付けることもできなくなるわけです。僕の知人の30代の女性のお父さんがこの間、孤独死しちゃったんです。女性が中学生の時、両親が離婚して、お父さんがDVだったので女性はお母さんに引き取られた。それから、ずっとお父さんとは縁が薄くなっていたんです。ですが、お父さんが孤独死で見つかったので「どうする?」となってしまった。
――それは切実な問題ですね。
村田 切実な問題ですよ。なぜかというと、縁を切って相続放棄すると荼毘に付すまで警察が全部やってしまうのでなんの関わりも持てなくなってしまう。
――でも、もしお父さんに借金あるんだったら縁切ったほうがいいですよね。
村田 借金があったら借金があるとわかった時点で縁を切ることはできる。だが、プラスの財産があるかないかを調べることができないらしい。だから、「どうする?」となった時に女性から相談を受けたんです。
お父さんが孤独死した家は、もともと女性の両親が離婚するまで住んでいた家だったんです。なので、「お父さんが孤独死した家に大切な物もあるかもしれないから、とりあえずOKしたら」と僕は無責任なアドバイスをしました。
そして、女性のお父さんが孤独死した現場を結局、僕も取材したわけです。
――遺体は撤収されたんですよね。でも、匂いとかはしなかったんですか?
村田 そんなに臭くなかったですね。お父さんはめちゃくちゃタバコを吸う方で、そこで50年住んでいたわけです。なので、50年分のタバコの匂いとおっさんの匂いのほうがキツイぐらい。結局、遺産は100万円足らず。火葬代や部屋の清掃代とかを差し引いたらほとんどお金は残りませんでしたね。今は骨壷の骨をどうしようか困っています。墓に入れたら完全に赤字ですし。貯金は200万円くらい残しておかないと、片付けてくれた人に嫌われちゃうかもしれませんね(笑)。
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