御巣鷹山・日航機墜落から33年…都市伝説レベルでもいいと割り切られるドキュメントや報道特番

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 テレビ業界には年間を通して様々な恒例番組がある。当然、夏季にも多数あるが、特に目立つのが戦争特番ならびに御巣鷹山の尾根に墜落した日本航空123便墜落事故の関連番組だ。終戦記念日が8月15日、123便墜落事故が8月12日の発生とあって、いずれも8月に放送されることが多い。

 無論、その準備は早くから進められ、企画募集は年明けなどにかかることも多いという。しかし、近年の企画募集でおかしな事態が起こっていると聞きつけた。

「戦争に関してはまだまだ語るべき内容があるのですが、ジャンボ墜落事故に関してはこれまで数多くの番組が作られ、書籍なども発表されているため、新たな切り口やネタがない状態に陥っています」(テレビ番組放送作家)

 たしかに日航123便墜落事故は1985年の事故であり、そこからほぼ毎年ドキュメンタリーや検証番組が繰り返し放送されてきた。そんな過去を考えれば新たな切り口や新事実が飛び出すことは、もう皆無と言えるかもしれない。

「ただ困ったことに新ネタがないからといって夏の風物詩を無くすわけにはいきません。さらに過去の焼き直しや似通った内容はNGなんです。たとえば過去に出演してくれた関係者に改めてインタビューをおこなうなどの形なら即座に対応できますが、局の編成は目新しい内容でないとゴーサインをくれないんです。その結果、無理矢理ネタをひねり出すようになっています」(同)

 関係者にインタビューをおこなうだけでも有意義な番組になるはずだが、やはり視聴率獲得という命題もあるテレビ局にとっては簡単にゴーサインを出せないようだ。

「あまりにそのことばかり考えるため、最近の企画募集や会議はおかしな方向に向かっています。たとえば『都市伝説レベルでもいいから新たな事故原因を示せ』とか『陰謀論がどこかにないか』と発言する人までいるんです」(同)

 都市伝説や陰謀論レベルの話がすべてウソとは言い切れないが、最初からそちらに目を向ける姿勢は如何なものか。そもそも、このような番組は継続していくことに意義があり、あの日のことを忘れさせない効果も発揮するはずだ。

「無論、局員の中には無理矢理新しい切り口を探さなくても、続けることに意味があるという人もいます。でも編成は事故原因を新たに探してこいとか新たな遺留品を探してこいとか無茶なことばかり言います。そんなものをテレビ局のスタッフが探せるくらいなら専門家がとっくに見つけてますしね」(同)

 おかしな内容に終始するならば、過去の再放送のほうがよほど有意義ではないのか。続けることは大切だが、あまりに新しさにこだわる姿勢には疑問がある。果たして今年はどのような内容でその日を迎えるのだろうか。

文=吉沢ひかる

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