脳の6分の1を失った少年が奇跡の回復! むしろ能力向上… 神経回路に起きた信じられない変化とは!?
■視覚機能が正常に戻る
今回のU.D.君のケースがまさにそれだ。彼は後頭葉(色・形などの視覚情報を処理)の右側も失ってしまったため、左側の世界から情報を得るためには、意図的に顔を動かさなければならない。そして、彼の脳内で生き残っている視覚処理へと情報を伝達する。ちょうど、パノラマ写真を撮影するために、カメラのレンズを景観の端から端まで動かし、全景を写し込む作業に似ている。
U.D.君が、この動作を日夜繰り返すうちに、彼の左脳は失われた脳の領域が本来ならすべき働きを処理し始めたのだ。こうして、いつの間にか正常なヴィジョンを手にしたU.D.君。しかも、手術前から同年代の児童と比較して読解力が高かった彼は、手術後も持ち前の読解力を維持していたという。
米カーネギーメロン大学の心理学教授マレーネ・ベールマン博士は、医学情報誌「Cell Reports」(7月31日付)で、U.D.君の脳に起こった変化について、彼の年齢も一因なのではと話している。若い脳は、年齢を重ねたそれより柔軟性があるため、より早く、容易に脳の神経結合を再構築できるからだ。いずれにしても、1人の少年の未来が明るくなったことはなによりだろう。
私たちの中にある小さな宇宙――脳。人は医学の進歩に驚かされるのではなく、人間がもともと持っている秘められたパワーが解き明かされていくことに驚くのだ。そして、この小宇宙から学ぶことは、まだまだ無限大にあるのかもしれない。
参考:「Mysterious Universe」、「Live Science」、ほか
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2024.10.02 20:00心霊脳の6分の1を失った少年が奇跡の回復! むしろ能力向上… 神経回路に起きた信じられない変化とは!?のページです。手術、神経可塑性、脳、視覚、佐藤Kay、てんかん、脳神経などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで