大予言者「アウンバラマ」の正体を“毎日新聞の忍者”がスクープ! 知られざる大正オカルト決戦が震えるほどスゴい!
■アウンバラマが起こす奇跡がスゴい!
藤田西湖がアウンバラマの邸宅を訪れたときは、ちょうどベルサイユ講和条約の調印が新聞に報じられていた。すると、アウンバラマは藤田の目の前で書生に対し、
「一昨年の日記を持ってこい」
と命じた。書生が日記帳を持ってくると、アウンバラマは悠然とこれを取り上げてページをめくり、
「オッ、これじゃ。講和の調印式は2年後の今月今日になるべしと、6月28日のところに書いてある」
と述べると、ページをトントンと指で叩いて得意げに周囲の客に示した。
アウンバラマの能力は予言だけではない。彼はしばしば仏舎利なるものを口から吐き出したり、相手の頭や体から取り出して見せた。また、客と対談中に突然、
「ただいま、釈尊から、尊いインスピレーションがありましたから、ちょっと失礼する」
と述べて席を立って書斎に引っ込むと、ものの2、3分で墨痕も生々しい文字を大判の紙いっぱいに書いて持参したりした。内容は仏典の一節であり、これを見た誰もが、これほど難解な長文を数分のうちに書き上げるとは、と感嘆するのだ。
アウンバラマの評判は、真言宗の総本山高野山にも伝わり、彼は招かれて高野山を訪れ、並み居る高僧の前で仏舎利を出現させたりもしたという。
■忍者が屋敷に忍び込み…… 真実を暴露!
しかし、当時「東京日日新聞」(毎日新聞の前身)の記者としても働いていた藤田は、アウンバラマの能力に胡散臭いものを感じた。そこで得意の忍術を使ってアウンバラマの館に忍び込み、彼の秘密を探った。
するとアウンバラマは、ひそかに朝6時頃に起床し、その日の新聞を読んでから、元どおりに新聞を戻し、過去の日記帳の余白に予言をしたためていることが発覚した。
短時間で長文を書いて見せたのも、そのほとんどをあらかじめ書いておき、何文字かを筆でなぞって、さも今しがた書き上げたように見せかけたものであった。さらにアウンバラマは若いころ、ドサ周りの奇術師の一行に加わっていたことも発覚。仏舎利を取り出す能力は、この奇術の応用であった。
藤田はこれらの事実を連日「東京日日新聞」に書き立てたため、ついにアウンバラマは詐欺罪で捕まったという。
たしかに世の中には不思議な能力を持った人間が実在するが、アウンバラマのような詐欺師も大勢いる。今年、オウム真理教の教祖・麻原彰晃の道連れとして処刑された幹部たちも、犯罪に手を染めた他の信者たちも、麻原という稀代の詐欺師に欺かれた犠牲者といえる面もあるのかもしれない。時には、科学的知識に照らしてこうした能力を懐疑的に検証する姿勢も必要だろう。
参考:『最後の忍者どろんろん』(新風舎)
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2024.10.02 20:00心霊大予言者「アウンバラマ」の正体を“毎日新聞の忍者”がスクープ! 知られざる大正オカルト決戦が震えるほどスゴい!のページです。忍者、日記、予言者、羽仁礼、奇跡、ジュセリーノ、アウンバラマ、毎日新聞、西田香峰などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで