植物も“痛み”を感じている可能性が浮上! 植物を殺して食べる行為は残酷か…最新研究から考察!
近年は世界的に菜食主義者が増えており、その主張も先鋭化しつつあるという。今月12日付の英「BBC」の報道によれば、フランスで肉を扱う小売店やファストフード店を襲撃した容疑で6人の過激派菜食主義者が逮捕されたという。菜食主義者の多くは動物の肉を食べる道徳的・倫理的問題を理由に挙げるが、では、植物なら本当にそのような問題はないのだろうか? そんなことを考えさせる研究が登場し、海外のオルタナティブサイト「Disclose.tv」で取り上げられて話題となっている。
■植物の「痛み」はどうやって伝わるか
植物は虫に食われたり葉をちぎられたりして「身の危険」を感じると、苦味物質や虫を遠ざける作用を持つ物質を合成し、放出することが知られている。不思議なことにこの反応は、食べられた葉だけでなく、そこから離れた場所でも起こるという。だが、脳や神経を持たないはずの植物がどうやって危険を体全体に知らせるのか? そのシグナルの仕組みは未だによく分かっていない。だが最近、埼玉大学の研究者らがその秘密の一端を明らかにし、科学誌「Science」(今月14日付)で論文が掲載された。
研究によれば、植物の細胞が傷つけられたとき、その情報はカルシウムイオンの波として全身に伝わるという。研究者らはシロイヌナズナとカルシウムイオンに反応して光るタンパク質を用い、傷を付けられた箇所からカルシウムイオンの増加を示す緑色の光が一気に広がる様子を撮影することに成功した。論文と共に公開された動画には、虫にかじられた次の瞬間、その場所で強い光が発生し、瞬く間に周囲の細胞から細胞へと波のように伝わり、師管を通じて全身へと広がっていく様子が克明に映し出されている。
さらに、このカルシウムイオンのシグナルを引き起こしている物質も特定された。それはアミノ酸の一種であるグルタミン酸で、傷ついた細胞から流れ出たグルタミン酸が近くにある細胞のグルタミン酸受容体を活性化し、痛みのシグナルを連鎖的に伝えているというのである。グルタミン酸は人間をはじめ動物でも神経伝達物質として使われている物質である。今回の研究は、植物には動物のような脳や神経は存在しないが、似たようなシステムで情報をやりとりしている可能性を明らかにしたのである。
研究者らは、グルタミン酸が植物にとって痛みを伝える物質である可能性を指摘している。物言わぬ植物もその体内では我々と似たような反応を起こしており、もしかすると我々とは形は違えども「痛み」も感じているのかもしれない。だとすると、道徳的・倫理的な理由を掲げる菜食主義者の言い分は通らなくなる。肉食を止めろと犯罪や過激なパフォーマンスを行う前に、今一度、植物という生命の一形態について思いを馳せて欲しいものだ。
参考:「Disclose.tv」「Science」「埼玉大学」ほか
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