激レア「エイリアン・フラワー」が150年ぶりに発見される! 摩訶不思議な姿に戦慄(ティスミア・ネプトゥニス)
この不思議な外見の正体は何なのか? エビやカニのような甲殻類、それとも昆虫か、はたまたキノコなどの菌類か――。
■激レアな“エイリアン・フラワー”を発見
我々にあまり馴染みがないのも当然、実に150年ぶりに姿を現したティスミア・ネプトゥニス(Thismia neptunis)という名の非常に珍しい植物である。
エイリアンそっくりで、葉のないこの花はマレーシアのジャングルの奥地であるボルネオ・サラワクで見られるようだが、1年のうちほとんどを地下で過ごし、地上に顔を出して咲くのはほんの数週間だという。
最初にこの花が発見されたのは1866年のこと。東南アジアで100を超える多くの新種を発見し植物研究に貢献した、イタリアの植物学者オドアルド・ベッカーリが見つけてその姿をスケッチしていたが、それ以降は1回も姿が確認されたことはなく、幻の花となっていた。
昨年2017年にチェコの研究グループが森を探索中に、幸運にも再び発見に成功したのである。そもそも見つけることすら難しいため現時点ではまだ限られた情報しかないというが、今回の発見で細部にわたり撮影することができ、貴重な資料を作成した。
150年前のベッカーリのスケッチは寸分違わず正確なもので、専門家らも改めて目を見張ったという。
■絶滅危惧種に近いThismia属
この植物の花にあたる部分は、高さが9センチほどしかなく奇妙な構造をしているが、これは菌従属栄養植物として知られるThismia属の一種だそうで、生きるために必要な栄養を光合成に代わって、共生する菌に依存している。したがって、葉のような緑色の部分はなく、地中で、とある特定のキノコを食べて栄養分を得ているそうだ。
これまで、まだ2回しか発見・文書化されていないため、絶滅のおそれがあるかどうかを判断するのは現時点では困難である。だが、研究者らはThismia属が世界で50種未満であると推定しており、生息地である低地熱帯雨林が減少していることからも絶滅危惧種として記載すべきである、という意見も表明しているようだ。
日本にもキリシマタヌキのショクダイというThismia種があるが、環境庁が絶滅危惧植物に指定している。
小さく、カラフルなランタンに似ていることから“妖精のランタン” とも呼ばれるというこの花に今度出会えるのは何年後になるだろうか。
参考:「Science Alert」、ほか
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